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38物語 第5話 最終回

みなさまこんばんは。
本日更新を担当します高柳です。

最終回に入る前に…
11月16日に国際日本学部に所属するゼミナール対抗のスポーツ大会が行われました!

わたしたち宮本ゼミ4期生はなんと…

バレーボール 準優勝!

しましたー!いやあ快挙ですね!
わたしは当日応援にすら行けず、みんなの勇姿を見ることができなかったのですが、サブカルだけじゃない宮本ゼミを見せることができたのではないかと思います!


さてさて、とうとうやってきました最終回です!
ゼミ生の更新を見ていて、こんなにも打ち合わせ無しでおもしろいお話ができるのかとびっくりすると同時に、
最終話の最終回を担当するというプレッシャーに負けてしまいそうな私がいます…笑

ですが、なんとかこのお話を最後まで楽しんでいただけるように書いていこうと思います!


それでは、最終話スタートです!




「…ねぇ翔太…ママって言った?」


翔太は自分がいったい何をしたのだろうかというようにぽかんとしていた。


「も、もう、話は終わりだ。ヒントをやるぞ。」
画面の向こうで犯人が焦ったように翔太の口を塞いだ。


「ヒントね。聞かせてちょうだい。」
そう言いながら私は考えていた。
この違和感の正体は何なのだろう。


翔太がママと呼んだこと
翔太の口を塞ぐ時にちらりと画面に映った犯人の時計


ひっかかるところがあった。
画面の数字は0:38。勝負に出るなら今だ。


「その時計珍しいデザインなのね。」
時計は革のベルトにイニシャルの刺繍が入ったもので、何年か前にオーダーメイドで作ったものだ。
その時計を持っているのはこの世にひとりしかいない。


画面の向こうの動きが止まった。
かかった、と私は思った。


「まだ、使っていたのね。」


「…ああ。」





「すまなかった。」
そういって私の夫だった男が頭を下げた。


「どうしてこんなことをしたの。すまなかったで済むと思うの?」
なぜか私の頭は冷静で、静かに彼を責め立てていた。


「ほんとうに馬鹿なことをしたと思っている。軽率だった。」
彼の頭が上がることは無い。



「ママ、ちがうよ。ぼくがパパに相談したの。」
画面の向こうから翔太がどこか大人びた目をしてこちらを見ていた。


「翔太…」
「どうしてなの?」
私は何がなんだかわからなかった。


「ぼくね、ママが大好きなんだよ。でもね、たまにママはぼくのこと嫌いなのかなって不安になるの…」
翔太の顔に影が映る。


「翔太が話したいことがある時も、お前がずっとスマホを見ているって、知らないうちに翔太を不安にさせていたんだよ。」



頭をカナヅチで打たれるっていうのはこういうことを言うんだ。


翔太を愛していることが当たり前に翔太に伝わっていると思っていた。
翔太にわたしに言えないことがあるはずがないと思っていた。


「ごめんね、ごめんね、ごめんね…」
私は画面にしがみついて泣いた。
翔太に淋しい思いをさせていた自分に腹が立って仕方なかった。


「翔太を連れてそっちへ向かうよ。」
ゆっくりと二人が立ち上がり、部屋から出て行くのが画面に映った。





「ママー!」


「翔太っ!」

「翔太、ごめんね、ママほんとうに馬鹿だった。」
「ママ、翔太のこと大好きよ。」
これでもかというぐらいの力で翔太を抱きしめた。



「翔太から相談を受けて、お前のそれは昔からだったから、少しやりすぎかなって思ったんだけど…」
「利き手が左手だったことを思い出して計画を思いついて…怪我させてしまったな。本当にごめん。」


「ほんとうにね。でも、大事なことを思い出したわ。」


「ありがとう。」





「だいぶ大掛かりなドッキリに引っかかったなう」
まだ少し涙目のわたしと恥ずかしそうに笑みを浮かべる翔太の写真。


「こんな時までツイッターかよ。しょうがないな。」
夫はあきれて笑っていた。


でも、きっとこれが最後のツイートになるな、と私は思った。


<終わり>




いかかがでしたでしょうか…!
打ち合わせ無しで進められた38物語もついに今日で終わりでございます!

いやー前の3人の個性が爆発したお話をまとめるのは非常に難しかったです…笑
楽しんで読んでいただけるといいのですが…


次回からは私たち4期生の卒論日記がスタートします!
こちらもどうぞよろそくお願いします!

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2014/11/17 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第5話 第3回
こんばんわ。
今夜の金曜サスペンスを担当することになりました渋江です。
…嘘です。

なにもサスペンスと決まったわけではないのですが、
やってきました38物語第5話の「転」パート!

何を転がしゃええんや!と
今回も難しいお題をいただきまして、
大変苦し…楽しく書かせていただきました!

毎回毎回、個性が光まくるこの投稿群ですが、
井出、山内とうちのゼミでもなかなかアバンギャルドな人たちが続いて
最高に面白展開になっておりました。
私の投稿でそれがどう転ぶか、お楽しみいただければと思います…!

読んでない方は、是非2回前の井出くんの投稿から読んでくださいね(=゚ω゚)ノ

では!ラストスパートです!


ーーーーーーーーーーーーーーーー




残り2分10秒。


手元のiPhoneがリツイートの通知を知らせて、鳴り止まなかった。

ピポン・ピポン・ピポン・ピポン

小さい頃に見たウルトラマンのカラータイマーのように「時間がないぞ」と、
だんだん私を焦らせていく。

「そうだ、左の親指だ。理由なんかない。お前が息子への愛情を示すためなら、俺の言うことを聞くことを確かめるだけだ。」


「……」


画面上では相も変わらず、愛しい我が子がぐったりした様子で縛られている。
犯人の姿は見えない。
翔太の背後は黒のカーテンで覆われていて、どこにある場所なのかわからない。
ただ、散乱するゴミ、痛んだ畳、薄暗い電気、そこが不衛生で寂れた場所であることはわかった。

混乱した。
さっきまで、ツイート欲にかられ昂ぶった気持ちで全世界に最悪の状況を発信していたのに、
いまはもう、翔太のことで頭がいっぱいだ。

どうしたら助かる。
どうしたら私のもとに返ってくる。
どうしたら元の生活に戻れる。
どうしたら、どうしたらーーー

奇妙な高揚感と心臓をえぐるような心配を繰り返し、
私の心はもう崩れる寸前だ。


「プァーープァーーー」


近くを通ったらしい、豆腐屋のラッパの音が聞こえてくる。
いつもの日常を予感させるその音が、
今はひどく私を苛立たせる。

音を振り切るように首を左右にふった瞬間、
私はハッとした。
ブラウン管の画面からほんの少し遅れて同じ音が聞こえてくる。
コーラスののった歌のように、二重に聞こえてくるその音は、私に一つの確信を与えた。

このあたりで主婦を続けていればわかる。
この豆腐屋の主人のラッパは、調子が少し外れていて、唯一無二のものだ。
つまり、このラッパがほぼ同時に聞こえるということは、画面の向こうの我が子と恐ろしい悪人は、すぐ近くにいる。

そして、このあたりに
画面にあるような荒んだ状況を作りえる建物は、
私がいる《アパートエルヴィータ》だけ。

翔太は、
同じ建物にいる……!


親指くらいなんだ。
刺し違えてでも翔太は取り返す。


近くにいるという安心感だけで、

私は覚悟が決まった。


「…わかったわよ。見てなさい。」


私は、右手で包丁を持ち直し、
指示通り、左手の親指に刃を当てた。
犯人の悲鳴が混じった声が聞こえたが、構わず力を込めた。



「ァアアァァアアァ!!!!!」



切れの悪い包丁によって、指からは血が滴った。
利き手ではなかったため、力が入らず切断なんて無理だった。

翔太が風邪で寝込んだ時に作った、野菜たっぷりのお粥。
その時、焦って指を切ったのと同じくらいの痛みだった。
血がだらだらと流れ、見た目にはひどく大袈裟だ。
主婦ならこれくらいの経験あるんじゃないの?と、拍子抜けしてしまった私とは裏腹に、
犯人の震える声が聞こえた。


「…ぃ…よし。お前の愛情は…よく…わかった。息子を助けるヒントをやろう…。あ、そこにある包帯で止血しても、いいぞ。」


実際には、切断できていないのだから
私は要求に答えてすらいないのだが、
犯人はそれで納得したらしい。
妙だ。

止血をしながら、俯いた私の怪訝な表情に犯人は気付いていないだろう。
さながら、私は名刑事であった。
子を思う母の愛情は、ここまで人に賢くするのか。

(愛情……?)

犯人の言い回しに、ひっかかるところがあった。

「…ねぇ、ヒントの前に、翔太の声を聞かせて。」

「いいだろう、その指は見せるんじゃないぞ…騒ぐと厄介だからな…。」


一度、カメラが動かされ、翔太を映すのをやめた。
意地でも犯人は、自分の姿を撮られたくないようだ。
横にふったカメラによって、部屋の間取りが理解できた。
小さめの黒いカーテンが高い位置にかかっている。おそらく、出窓であろう。
私のいる308号室にも出窓が同じ位置についているからだ。
古いアパートだ。間取りが一緒ということが意味するものは大きい。

翔太のいる部屋が間違いなく、この《アパートエルヴィータ》にあれば、
おそらくそれは、108号室か、208号室のどちらかだ。


私が、火サスも顔負けの推理をしている間、
「起きろ、ママだぞ」と翔太が起こされる声が聞こえた。
乱暴はされていないようだ。


カメラがゆっくりと、翔太の方に向けられた。
私は、左手を後ろに回した。
眠っていたのか、翔太は眠たそうな声をしていた。


「ママァ…いるの?」


「……ママ?」


別れた夫は、翔太に、私たちのことをパパママと呼ぶことを強制していた。
私は、夫のそういうところが苦手だった。
翔太にママと呼ばれるたび、内心とてもくすぐったくてなんだか冷ややかな気持ちにさせられた。
離婚を機に今度は私が、同じようなことを翔太に強いてしまった。
ほんとはこういうのが、嫌だったはずなのにね。
それ以来、翔太が私を「ママ」と呼んだことはない。


「…ねぇ翔太…ママって言った?」




2014/11/14 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第5話 第2回
こんばんは!今回は山内が担当させていただきます!

2日前に更新されたストーリーの続きを私が組み立てていくのですが、
井出くんなかなかやってくれましたね…!

井出くんがラストまで書いたらどんな展開になるか気になる木ですが、
今回は山内が担当なので悪しからず。
どんな展開になってもブーイングは受け付けておりません。

今回は山内が担当なので悪しからず。(大事なことなので2回言いました)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私は今、正体不明の誘拐犯に左指を切断しろと脅されている。

どうしてこんなことになったか分からない。
うちは裕福ではないし、誰かの恨みを買った覚えもない。

ただ分かるのは、この状況が普通ではないということだ。

私は混乱する脳を冷静にして、こう思った。


今の状況、めっちゃツイートしたい…!!


お察しの人もいると思うが、私はツイ廃(ツイッター廃人)だ。
珍しい状況に立ち会うと逐一ツイートしたくなってしまう、一種の病気みたいなものなのだ。

前回「夫とは価値観の相違で離婚した」と説明したが、原因は夫が私のツイッターに対する熱意を理解することができなかったからだ。

「いつもツイッターばかり気にして…大学生かよ」

夫はいつも辟易した表情でそう言っていた。

いけない。昔のことなんて思い出してしまった。早くツイートしなくちゃいけないのに。
モニターに向かって私は問いかけた。

「ねえ、ちょっとつぶやいていい?」

すると、モニター越しに声が聞こえた。

「つぶやくって、ツイッターか?あっ、喋っちゃった」

声が聞こえたものの、誰であるかは見当がつかなかった。

「おい、他人に連絡するなって言ったのに、何世界に発信しようとしてんだよ!!」

「お願い!位置情報は解除しておくから!!」

「おま、子供への愛情よりツイッターが上回るのかよ!!」

「最終的に親指は切るから、ちょっと黙ってて」

『親指切断要求されたなう。MK5(マジで切る5秒前)』

ツイートは完了した。

すると、近所の世話焼きおばさんこと吉田さんがすぐにリプライしてきた。

『ウケるぅ~。で、どっちの親指?』

私はすぐさま返信する。

『左っぽいです。』
リプライをもらえると嬉しい。翔太の担任の伊藤先生からは拡散された。
反応してもらえることによって、快感が脳を駆け巡る。

そうしているうちにママ友の佐々木さんからもリプライが来た。

『私もつい最近要求されたよ~(>_<)左でしょ?』

ん?この状況は珍しくなかったのだろうか。
自己顕示欲が少し冷めてきた。

「満足したか?タイムリミットもあと少しだ。息子を傷つけたくなければさっさと切断しろ」
モニターから声が聞こえてきた。

翔太を助けるためなら致し方がない。
犯人が準備したであろう出刃包丁を握りしめた。

「おい、ちょっと待て。そっちは右だろう。左を切断しろ」

「…あんた、なんか左の親指に相当こだわりがあるようね?」


《つづく》

2014/11/12 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第5話 第1回

こんにちは!今回担当の井出です!

第5話、つまり最終パートの出だしということで、中々にプレッシャーを感じています。
日常、異世界、SF、ファンタジーと様々なジャンルで綴られてきた38物語、
ラストはどんなストーリーが良いかと悩んだ挙句、まずはとにかくインパクトで!という結論に至りました。

それでは第5話を【井出、山内、渋江、高柳】でお送りいたします。





「お母さん!ただいまぁ!」

小学三年になる息子、翔太が元気よく学校から帰ってきた。
この子の笑顔を見ると、朝から昼過ぎまでのパートの疲れも吹き飛ぶ。

「おかえりなさい翔太、帰ってきたらちゃんと手洗うのよ」

「は~~~い」

価値観の違いという、よくある理由で夫と離婚した後の生活は決して裕福では無いけれど、
家族二人、毎日暖かい時間を過ごすことができている。

時々パートが長引いてしまう日には、担任の先生の伊藤さん、近所の世話やきおばさんの吉田さん、ママ友だちの佐々木さん達に色々と助けてもらうこともあるし、これでも私は私を幸せ者だと思ってる。

「ご飯の時間までゲームする~~~」

「あんまり画面に目を近づけちゃダメだからねー」

「は~~~い」

ゲームに夢中で真剣になっている翔太を見ていると、自然と笑みが溢れて、なぜか落ち着いた気持ちになる。
ほんと、翔太はかわいい息子だ。
さて、夕飯の食材の買い出しに行かなきゃ。とは思ったものの、さすがに今日のパートはハードだったからか、急な眠気が襲ってきた。

「少し寝てから行こっかなぁ・・・」
そう呟きながら、私はテーブルに突っ伏して、眠りに落ちていった。






「…うーん?」

そうだ、買い物に行かなきゃなんだった。時計の短針は真っ直ぐ5を指していた。
ちょっと仮眠を取るつもりが、どうやら1時間半も寝てしまっていたらしい。

「お母さんちょっと買い物に行ってくるからねー、今日は何が食べたいー?」

――翔太の返事がない。というか、翔太がゲームをしている姿はそこには無かった。
どこかに遊びにでも出かけたのだろうか。ひとまず外出の支度を整え、玄関のドアを開ける。

「まったく、翔太ったら鍵もかけないで…」

あとで帰ってきたらしっかり言い聞かせなきゃ。
そう思ったと同時に、開けたドアの隙間から一枚の紙が揺れながら落ちた。拾って開けてみる。

「預カっタ アパートエルヴィータ308号室 1人デ来イ 他人ニ連絡スルな お前ヲ試ス」

「――えっ…?」

ど、どういうこと…?え?ちょっと待っ…えっ?翔太!?い、一旦落ち着いて。もう一度よく紙を見…

「翔太!!!翔太!!!!!」

大きい声で翔太を呼んでみても、どこからも、誰からも返事は無い。

「――誘…拐…?」

全身から血の気が引くのが分かる。
胸が締め付けられる思いと足がすくむ思いとで、地面に倒れ込んでしまいそうだ。
誰が?何で?そんな思いも確かにあったが、何よりもまず、翔太の安否が不安だ。

「――っ…!!」

私は全速力で駆け出していた。指定された場所はそれほど遠くない。
近所でたまに話題に上がることもある有名ボロアパートだ。
人が住んでいるという話は聞いたことがない。
他人に知らせるなという指示があった場合に、要求に応えて1人で事を進めても良いのかという迷いもある。
色々な不安からくる恐怖で押しつぶされそうだ。
それでも足は止まらなかった。
全力疾走を続け、走りだして10分程でボロアパートに着いた。

「…ハァ…ハァ……翔太…」

3階建の木造建築だ。外壁の塗装は剥がれかけ、雨水が染みこんで腐っている部分もありそうだった。
3階の部屋に行くためには外付けの階段を使うようで、その階段も本来の白の塗装が剥がれ落ちて、錆びだらけになっていた。
私は息を少し整えて、308号室へ向かう。

「…………。」

扉の前でもう一度息を整え――ガチャリ。
鍵は開いていたので、私は無言で扉を開けた。
六畳一間の部屋には物はあまり無く、人もいなかった。
そんな簡素な部屋だからこそ、部屋の中央にあるテーブルの上に置かれている斧、ノコギリ、先が鋭利な鉄パイプ、ペンチ、鋏、出刃包丁、小型テレビ、二つ折りにされた紙に目が行った。またしても足がすくんだ。

「まず…調べなきゃ……」

部屋を見渡すと、天井の四隅にそれぞれ監視カメラが設置されている。
犯人はあれを通して私を見ているのだろうか。
――ブウゥン。いきなりテレビの電源が入った。

「翔太っ!!!!!」

テレビには、翔太が口をガムテープで塞がれ、手を後ろで縛られている映像が流れた。
その床にはナイフが写り込んでいた
。この映像がリアルタイムなのか録画なのかはわからない。
けれどこの子を助けるためには、指示に従うしか無い。そう決意した。

「……?」

テレビ画面の左下に表示されている時間が、減っている。
5:00、4:59、4:58、4:57、だんだんと焦燥感に慣れていってる自分がいた。
落ち着いてテーブルの上に置かれている二つ折りにされた紙を広げてみる。

「子供へノ愛情示セ 左手親指切断 そレでヒントやル」

試スって、これか。
だからブッソウな道具がこんなにあるのか。
好きな道具を選べってことなのか。
確かに戸棚には包帯や止血剤もあるようだし、ガスコンロも使えそうだ。けれど、

「これって、何なの?」

思わず口をついて言葉が出た。ほんと、この一言に尽きる。
私が何か悪いことした?翔太が何か悪いことした?
幸せだったのに、幸せだったのに…。
元気よく帰ってきて、ただいまぁ!という翔太の顔が浮かぶ。
テレビに映ったおそらくタイムリミットである数字は、4:38だ。




私は、私は――。



<続く>

2014/11/10 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第4話 最終回
どうも~本日の担当は奥谷です(^^)

文化祭も終わってしまい、なんだかぼんやりしてしまう今日この頃。
残る学校行事も数少なく、時間の限られた学生生活を思うと
一日一日を大切にしなきゃなぁ、なんて考えています。

そんな私が最近抜け出せないものが、お布団です。
起床時間はだいたい昼12時とかです。
この頃めっきり寒いですからね。仕方ないですね。

はい、そんな私のどクズ話は置いといてですね。
38物語第4話、運命の最終回です!!どどん!!!

とりあえず、前回までのざっくりとしたあらすじですが…
「僕」が電車でふと気になった女の子、後をつけてみるとなんとその子は魔界の王女だった――
みたいな話でしたね。
前半の爽やかな文脈から一転、まさかこんな展開になると思ってもいませんでした。
魔界て。王女て。

かなりの急展開に頭を悩ませましたが、こんな最終回になりました。
それではどうぞ~!

=========================

「なんだよこれ…。」
目の前に広がる光景に、僕は頭がクラクラした。
振り返ると、さっきまでそこにあったはずの噴水や公衆トイレはなく、ただ真っ黒な空間がぽっかり口を開けているだけだった。

「ほら、いつまでヘタれこんでるの、早く立ちなさいよ。」
声のする方へ顔を向けるとそこにはいつの間にか目の前に回り込んでいた矢野ちゃんが立っていた、
ていうか矢野ちゃんの背中から大きく真っ黒な翼が生えていた。
さっきまで着ていた清楚系コーデは一転、全身黒のドレスを身にまとい、妖しく微笑む矢野ちゃん。
嘘だろ、夢だろ、だってこんなの…と自分の頬をつねってみる。痛い。

「あのさぁ~人様の秘密のぞいておいて何その態度?そもそもあたし目立たないようにちゃんと狭い道通ってきたよね?わざわざついてくるなんて、よっぽどのモノ好きだよね~ていうかフツー女の子の後つけてくる?ありえな~い!

こんな口調、とても矢野ちゃんのものとは思えない。
普段の矢野ちゃんは敬語がしっかり使えて、常に低姿勢で、ニコニコしてるのに…。

やっとの思いでフラフラと立ち上がり、喉がカラッカラになりながらも、改めて聞いてみる。
「きっ君は本当に、矢野ちゃんなのか?」
「はァ?じゃなきゃ誰よ。『アナタのハートに矢を放つ♡ 矢野茉莉菜19歳です♡』」
ふいにやられた、キャッチコピー混じりのいつもの自己紹介。
これは本物だ。くっそカワイイ。
こんな状況下でもハートに矢が刺さってしまう自分に情けなさを感じながら、彼女が本物であることを確信した。
と同時に、ある感情がふつふつとこみ上げてきた。

「あのさぁ…つまりキミは、僕らの感情を利用していたワケ?」
「え~?当ったり前じゃん。あたしがちょこっとかわいく振舞うだけで、みーんなバカみたいにあたしの虜。こんなに簡単にエネルギー貯まるなんてちょろいもんよねー」
「………。」
「人間界に来る前はすっごい苦労してたんだけどね~ホントあなたたちのおかげだわぁ~」

「矢野ちゃんさぁ」
思わず声が大きくなった。一瞬ビクッとひるむ矢野ちゃん。

「僕らが、ファンが、どんな思いで矢野ちゃんのこと応援してるか知ってる?矢野ちゃんは本当にいい子だから、ずっとひたむきに頑張ってきてるから、応援してるんだよ?娘にしたいって言うようなファンだっているくらいだ。今じゃ確かに有名になって、メディアとかバンバン出て、たくさんのファンがつくようになった、だけど、だけど!最初の頃は、地味に活動してたよね?目立たないところで一生懸命踊ってさ、いつも笑顔でさ、それも、それすらも!全部ウソだったっていうのか!!?

矢野ちゃんがハッとした顔で僕を見た。
そうだ、僕は矢野ちゃんがデビューする前から彼女を追い続けてきたんだ。
スポットライトも当らないバックダンサーの一人として、それでもキラキラの笑顔を振りまいて踊る矢野ちゃんを、僕は見守り続けてきたんだ。
それが全て嘘だったなんて信じたくないけど、でも、でも……。

そのときだった。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………

思わず耳をふさぐような轟音、見ると扉がバラバラと崩れてきているではないか。
黒猫が叫ぶ。
「しまった!!マリナ、早くこいつを始末するか魔界へ連れていくかしないと、俺たちの命まで危ういぞ!!」
「ちょっ、ええええええ!!???
パニくる僕。こんなことなら途中で電車降りるんじゃなかった。大人しく帰ってCD聴いてればよかったんだ。
ああ、父さん母さん、今までありがとう。
さよなら――



と思った次の瞬間、
「いっけーーーーーー!!!!!!」
僕の身体が、ブンと宙に投げ飛ばされた。
見ると、息を切らせて顔を真っ赤にした矢野ちゃん。
ああ、ダンスで鍛えたんだね、すごく力持ちだ、そんなキミもステキだよ――……



「次はーたかだのばばー、たかだのばば…」

ハッと目が覚めた。左肩に重い感触。見るといかついお兄さんが僕の肩にもたれてグーグー眠っている。
あー、良く寝た。次で降りなければ。

そういえば、と思って僕はタワレコの袋から1枚のCDを取り出した。
僕の大好きなアイドル、矢野茉莉菜の2ndアルバムだ。
このアルバムを発表した時の矢野ちゃんのコメントが素敵だった。

『みなさんの思いが、私のエネルギーになるんです。ファンのみなさんには、本当に感謝しています。』

あれは雑誌のインタビューだっけ、それともネット動画で見たんだっけ。
そんなことを考えながらふとCDをひっくり返して、僕は驚きのあまりそれを落っことしそうになった。

そう、そこにはなんと、矢野ちゃんのサインがあったのだ!しかも今日の日付が入っているうえに、どうやら直筆っぽい。
初回限定版の特典でもないし、なぜサインが……?

「たかだのばばー、たかだのばばです」
駅に着いたようだ。僕は慌ててCDを袋に入れると、バッと立ちあがり電車を降りた。

タワレコの袋から、ふわりと黒い羽根が落ちた。

〈完〉
=========================


はい!長くなってしまいましたが、いかがだったでしょうか。
篠崎さんの第1回からは想像できない展開になったのではないかと思います。
矢野ちゃん矢野ちゃん書きすぎて、PCの予測変換で出てくるようになりました。

前回のテーマ「写真deリレー」もそうでしたが、
想像上のお話を書くのって大変ですけど楽しいですね!

では、今回はこの辺で締めさせていただきます。
次回の38物語もお楽しみに~!
2014/11/07 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
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