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38物語 第4話 第2回

こんばんは!
4話目をむかえました38物語、第2回を担当します秋山です。

10月も残すところあと二日!
昨日のゼミでは毎年恒例ミニハロウィンパーティをしました♫
皆でお菓子をたべながら、ついに今週末に迫る明大祭の準備について話し合いました。
いやぁ、ついに最後の学園祭です...!とびっきり楽しい思い出をつくりたいなー
宮本ゼミプロデュース「カフェ立ちぬ」
ぜひお越しくださいませ!!!

私事ですが、今年はサークルの方でピアノとサックス演奏もします♪
サックスはつい最近始めまして、かなり苦戦しております...が!必死で追い込み練習に励んでおります!
ピアノと違って、楽器との相性や吹き方次第でいくらでも音程が変わってしまうのが、難しいですがとても面白いです。
そして何より、かっっっこいいんです(笑)音も見た目も。

さて、そろそろ本題に参ります!
前回の篠崎さんの丁寧で細やかな文調をなるべく引き継ごうと頑張ってみたのですが、
難しかったです(泣)
なんとなく同じ雰囲気のまま読みすすめていただけたなら幸いです。
では、どうぞー!


----------------------------------------------------------------------------


僕は反射的に目をそらしてしまった。

僕がさっと右を向いた瞬間、左からいかついお兄さんがずずっと寄りかかってきた。
完全に爆睡している。
ちょっと離れようとすると、彼の頭が僕の肩まで落ちてきてしまった。
思わず「マジかよ」という顔をすると、誰かにクスっと笑われたような気がした
前を向くと、彼女が顔を隠すようにして本を読んでいる。
僕は小っ恥ずかしくて、顔が火照ってきてしまった。


お兄さんの枕状態のまま、身動きできずどぎまぎしていると

「しんおおくぼー、しんおおくぼー」

アナウンスとともに前の女の子は慌てて本を閉じ、電車を降りていった。
それを見た僕は何を思ったか、ばっと立ち上がり、締まりかけたドアから飛び出していた。

きょろきょろと辺りを見回すと、

「いた!」

赤いポシェットを揺らし階段を駆け下りる彼女。
僕も後を続いた。

改札を出た彼女は、K-POPアーティストのショップや美味しそうなにおいを漂わせる韓国料理店には目を向けることなく道をすたすた進んでいく。平日なのに狭い道には人があふれ、僕は彼女を見失わないよう必死だった。

女の子は、途中でドンキのわきの狭い道にすっと入っていった。
さっきまでの道とは打って変わって人通りの少ない住宅街。
僕は彼女と十分距離をあけながらついていく。

道はどんどん狭くなっていき、周りにはひたすら古いアパートが立ち並んでいる。
それぞれのアパート前のゴミ置き場には、もうずいぶん前からあるようなゴミが積み上がり、ところどころ破れたゴミ袋を野良猫たちがひっかいている。

まだ夕方前なのに、なんだか周囲が薄暗くなってきて、気味悪ささえ感じてきた僕は、距離をあけすぎたか
いつの間にか彼女を見失ってしまっていた。
しかし、ここまで来たからには行けるとこまで行ってみようじゃないかと、ますます狭くなっていく路地を進んだ。

15分ほど歩いただろうか。
やっとひらけた場所にでた。

錆びた門のようなものがあるが、誰かの庭というわけではないらしい。
干上がった噴水と、雑草がのびる小さな花壇。
入るまでもなく中の様子が想像つく古びた公衆トイレ。
周りには、世界史の資料集でみたギリシャ式建築の柱のようなものが並んでいる。
どうやらここは公園のようだ。
入ってみると、遊具らしきものはブランコが二つのみ。
人の気配は全くない。

「なんとも気味が悪いところにきてしまったな...」

仕方がないのでもと来た道を戻ろうとすると、
「ふふふっ」
女の子の笑い声が聞こえたような気がした。
僕はびくびくしながらも周りを見回してみた。
するとトイレの向こう側に誰かがいるようである。
おそるおそるちかづいてみると、

「あっ」
おもわず声をあげてしまった。

あの女の子がしゃがんでいた。
野良猫になにか餌をやっているようである。

「えっ?」
僕の声に気づいた女の子がふりむいた。
その瞬間3、4匹いた野良猫たちは四方八方に散っていってしまった。

「ご、ごめん...。 」


(続く)






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2014/10/29 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第4話 第1回

みなさん、こんにちは!今回の担当は篠崎です!

38物語、ついに私から4話目に入るのですが、いや、みんなのクオリティがすごいですね!
実はゼミのみんなは普段からお話を書いているんじゃないかって思っちゃいます!笑
ジャンルも、多岐に渡っていてさすがです…!

さて、このシリーズは各話4人のメンバーが「起・承・転・結」を担当しているわけですが、
私は近頃、起承転結が激しい話というよりは、
「特にトクベツなことは何も起こらない系」っていうんですかね、
たとえば、川上弘美さんの短編集のような、
日常生活を丁寧に描いたような小説や映画を好んで読んだり観たりしている気がするので、
今回自分が上手い「起」を書けているのか不安です…

後に続く、秋山さん、湯澤君、奥谷さんに全てをお任せして…!笑

ではでは、前置きが長くなりましたが、
38物語 第4話はじまりはじまり-!





僕は人間観察が好きだ。

英単語帳を赤シートで隠しながら次々にページをめくる男子高生、
携帯をミラー代わりに使いながら、キメ顔で化粧チェックをしているお姉さん、
それを隣で呆れた目つきで見てるメガネのおばさん、
たくさんの資料が入った紙袋を持って、眠りこけているサラリーマン。

電車には本当にいろんな人が乗っている。

彼らの様子や服装を眺めながら、
「中間試験が近いのかな」とか「あ、たばこ吸う人なんだ」とか
「これからデートなのかな」とか、
そんなことを想像するのが好きだ。

だから、あの日も彼女の存在に気づかないはずがなかったんだ。


その日は大学4年の僕が唯一取っている、「経営分析論B」のテストを終え、
今日発売した、僕のいちばん好きなアイドルの2ndアルバムを買いに
渋谷のタワレコに寄った帰りだった。

その日はテストが終わった解放感からか、
待ちに待ったアルバムが買えた幸福感からか、
なんとなく原宿まで歩いてみようという気になって、

普段はビビって入れないような服屋の中を
店員さんに話しかけられないように覗いたり、
「彼女が出来たら連れてきてあげよう」と
横目でお洒落なフードスタンドを見ながら歩いたりして、
渋谷から原宿までの間、「イケてる大学生」の気分に浸って楽しんだ。

外国人と若者がちらほら電車を待っている原宿駅から山手線に乗り込むと
座席はぽつぽつ空いていて、
僕は派手な色のキャップの上から派手な色のヘッドフォンをして眠っている、
いかついお兄さんの隣に腰かけた。

i Phoneを取り出し、新しいメッセージが来ていないことを確認すると、
僕はその車両の乗客を、いつものように観察しはじめた。
車内を見回すと、平日の昼間だからか、僕くらいの年齢の2人組や子連れのお母さんが多かった。
窓からは10月のあったかい光が差していて、
なんだか優しい気持ちになるような、とても平和な感じだった。

視線を目の前に戻すと、1人で座ってる女の子が目に留まった。

つやつやの長い黒髪に白い肌。
白いブラウスに黒のスカートとタイツ、ぺたんこの靴、それに赤いポシェットを合わせていた。
華奢で、透明感のある感じ。
ぱっと見の雰囲気だけでも、可愛いオーラを発していた。
年齢は僕の2個下くらいであろうか、珍しく本を読んでいた。

どんな顔をしてるんだろうと、うつむき加減の彼女の顔に視点を当てると、
彼女がふと、本から視線を上げて僕と目が合った…。

(続く)


2014/10/27 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第3話 最終回
こんばんは。
第3話最終回の担当は清水です。
迫りくる卒論第2稿提出日に怯えながらの更新です。
1週間後には文化祭もありまして、宮本ゼミも出店準備に動き始めています。頑張ります!
11/1,2は「カフェ立ちぬ」に是非ご来店くださいね!
ではでは第3話最終回始まりです…






敵機にいたのは、なんと彼らの愛娘だった。
久しぶりに見る娘は前よりもずっと歳をとっているように見えた。

「な、なんでお前さんここにいるんじゃ…

地球にいる家族は…?」

「地球はもうダメ」

「えぇ何を言ってるの、ほらこの間だって聡さんが綺麗な写真を送ってくれたわよ。あれは、去年だったっけねぇ…」
おばあさんがほとんど泣きそうになりながら聞く。

「あんなのソフトで加工して作った写真よ。写真というか絵ね。
地球での写真なんてもう何年も前から撮れないんだから…。それぐらいも気付かないの!?
もうっ…」

娘は地球に行くために星を飛び出したときのように目を見ずに話す。
無理やり喋るみたいに。
こうなったら何を言っても無駄だ。


「私が地球に行ってから本当にいろいろなことがあった。ただでさえ時代遅れの星だったのに、やれ戦争やれ環境破壊…もう生き物の住める場所じゃないのよ。」

おじいさんとおばあさんは何も言葉が出てこない。

「あーなんで私はあの時たくさんある星の中からよりによって地球を選んだんだって思った。

…でも家族がいたから。だからあの星にいたのに。」

そう言うと娘はついに泣き出してしまった。
あぁこの歳になって情けない。でも娘はいくつになっても娘だ。


おじいさんもおばあさんも親として同じ日のことを思い出していた。
-娘が急に星を出ていった日だ。
あれはもう10年以上前になるだろう。
娘は独り立ちしたいと言ってロケットのチケットを自分で買って生まれ育った家を出て行ってしまった。
心配性なおじいさんおばあさんの目を離れたかったのもあるようだし、
何もかもが揃っているこの星を飛び出してみたくなったようでもあった。
娘がいなくなってしばらくは娘が無事かとにかく不安で落ち着かなかった。
大事な1人娘。甘やかしすぎて少しわがままな娘だ。
遠いどこかの星でちゃんと生きているのだろうか。
半年ほどたったある日「便りがないのはいい知らせ」それだけのメッセージが娘から届いた。

そして、数年後のある日そんな2人のもとに手紙が届いた。
娘と娘の新しい家族である聡という人との連名での手紙だった。
娘が1人で地球という遠い星に家庭を持ったことにおじいさんもおばあさんも喜んだ。
何より、娘が新しい家族を持って幸せに暮らしているのが文面からでも伝わってきた。
すぐにでも娘夫婦に会いに行きたいくらいだったが既に年齢制限でロケットに乗ることはできなかった。
いつかこちらの星に会いに来てくれるだろう、とおじいさんおばあさんはその日を夢見ていた。
それからも年に1度ほどだが近況を知らせる写真と聡の丁寧な手紙が届いていた。




おじいさんが優しい声で聞く、
「で、どうしてこの星に戻ってきたんじゃ?」

「家族が私だけになって地球にいる理由がなくなったから。」

「そうじゃったのか…」

「違法で地球脱出して、まさか親と戦うことになるとはね。地球にこのままじゃいられないと思った金持ちたちが他の星を乗っ取ろうとしているところに便乗したのに。この星に戻ってくるなんて…」

「それはちゃんと理由があるんじゃないか。」
おじいさんはしっかりと娘を見て言う。

「え?」

「ふふ。家族がいるからよ、ねぇ。」
おばあさんはいつの間にか嬉しそうに微笑んでいる。
あぁ、そうだったのか。娘は妙に納得してしまった。
ずっとわからなかったなぞなぞの答えを聞いたみたいだ。


「さぁ!」
おじいさんが大きな声を出して立ち上がった。

「黒尽くめの男たちの正体も何もかもわかった!
急いでロボットを直すぞ!!」

「え、相手は何人いると思ってるのよ!
私を抜いて…38人もいる!」

「そんなの関係無いわ、こっちにはスパイがいますものねぇ、ふふ」

「そうじゃそうじゃ。次のロボットは38本手を付けようかのう。」
おばあさんもおじいさんもいつの間にか意気込んでいた。
3人は目を合わせて歩きだした。



「それにしてもよぼよぼのお父さんお母さんに負けるとはね。
私だって小さな頃から見てたから、ロボット扱う才能あると思ったのにな。」
「何年生きてると思ってるんじゃ。」
「ふふふ。」



<おわり>






いかがでしたか…
この38物語企画、決まったときは楽しそー!!と乗り気だったのですが
自分の番になると話は別です。
ふぁーーーー
本当に悩みました…
今までのクオリティの高さ、本当すごいです…

さぁ!いよいよ次は第4話!次回もお楽しみに…(・O・)/
2014/10/24 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第3話 第3回
こんにちは、こんばんは!
本日担当の薄葉です。
最近日が暮れるのが急に早くなりましたよね。もうすっかり秋ですね。
寒くなる前に芝生でたくさんごろごろしたいです。
ではでは、さっそく物語に入りたいと思います。
どうぞ



「お、おぬし、何奴じゃ…!」

しかし、漆黒の巨大人型ロボットのパイロットは何も答えない。

「あらまあ。じいさんこれは一体どういうことですかねぇ…」
「わしも分からんのじゃ。どうやら先ほどの黒尽くめの男たちではないらしいがの。つまりやつらはわしらをおびき寄せるための罠だったというわけじゃ。ばあさんや、ちょいとばかり激しい戦いになるぞい。じゃが心配するんでない、幸いこの超即効湿布が効いてきたようじゃ!さあばあさんいくぞや!」

じいさんはそう言うと素早くボタンを操作しビームサーベルを装備した。
そして操縦桿を握り、力強く前方に傾けた。

二機のロボットのサーベルが真正面からぶつかり、数度刃を交える。
そして一旦離れ、互いに間合いを取る。

「ひゃあ….!目がグラグラします!!」
「すまないのばあさんや。ばあさんはそこのボタンらを使って機体の制御を頼んでもよいかの?操作は簡単じゃ。」
「はい…!任せてくださいな。」

また敵機が迫る。
じいさんは素早い操縦で敵機をかわし、横から敵機の胴体を切り付けるが、敵機もすんでのところでそれをかわす。

「ふう…敵もなかなかやるようじゃ。ばあさんや、大丈夫かの?」
「はい…!なんとか身体が慣れてきたようですねぇ。けれどもじいさん、あなたいつこんな訓練を受けてたんです…?」
「それは秘密じゃ。これも男のろまんというものかの。」

二人が話しているうちに、態勢を立て直した敵機が驚くべき動きをし始めた。
なんと胴に当たる部分の左右からガッという音とともに新たな腕が2本飛び出したのだ。
そして計4本となった腕のそれぞれの手にはビームサーベルが握られた。

「あやつもどうやら本気でわしらの命を取りにくるようじゃ。こりゃ、ただではすまないかもの。しかしわしらもこんなとこでおいおいと死んでたまるものかの。なあばあさまや」
「そうですねぇ、それにわたしはいつでもじいさんを信じています。」

しかし本気になった敵機にじいさんの機体は徐々に追い込まれていった。
じいさんの機体も両の手にビームサーベルを装備したが、やはり4本のビームサーベルを相手にするというのは少々分が悪かった。
そしてやはり歳のせいだろうか、じいさんが一瞬ひるんだ隙を敵機は見逃さなかった。
そのわずかな間に、腕が一本持っていかれたのだ。

なんとか敵機から間合いをとったが、じいさんの機体は片腕のみ、そしてガコッ、ボコッという音とともに機体の様々な部分から煙が出ている。
まさに満身創痍といった状態だ。

「いよいよ追い込まれたの…ばあさんや。この機体はもう限界じゃ。おそらく次のあやつの攻撃に耐えられるかどうかといったところじゃ。そこで、わしは次に全てをかけるつもりじゃ。ばあさんはわしが合図したらそこのボタンをおしてくれるかの?これは、最後の賭けじゃ。ばあさんや…わしゃ今までおまえにたくさん迷惑かけてすまなかったのぉ。わしなんかに付いてきてくれて、ありがとのぉ。」
「あらまあ、何を仰ってるんですか。私こそ、じいさんに出会えて本当に幸せでした。それに、あなたと一緒に死ねるなら本望です。」
「っ…ばあさまや、行くぞい!!!」
「はい!!」

全身全霊を込めてじいさんの機体は敵機に突っ込んだ。
腕を一本破壊したことにより余裕を見せていた敵機は、じいさんの機体のとっさの行動に一瞬反応が遅れたが、4本のビームサーベルで一気に切り付けた。
しかしその感触はない。
なぜだ?
そう思った瞬間、目の前にじいさんの機体の背中に備えられていたキャノン砲の先がこちらに向けられていた。

「今じゃ!」「はいっ!!」

キャノン砲から放たれた一撃は敵機の頭部を撃ち抜き、大きな爆発音とともに敵機は崩れ落ちた。

「あらあら、まあまあ!!やりましたね、じいさん!!でもなんで…私には速すぎて理解できませんでした。」
「はぁはぁはぁはぁ……そりゃあまあの…実はあれは敵機に突っ込んだと見せかけて、すんでのところでブーストを逆噴出して後ろに下がったのじゃ。そしてあやつがビームサーベルを空振りしたところをわしとっておきのキャノン砲で至近距離から撃ったというわけじゃ。」
「あらあらまあ、さすがじいさんですねぇ!」
「とにかく、あやつは頭部のカメラが破壊されておるからもう動けん、それにちょうど爆発によってコックピット部分がむき出しになっているわけじゃし、どれ、顔を拝んでやるとするかの。」

そして、じいさんとばあさんは倒れた敵機のコックピット部分に向かった。
しかし、いかにも不覚をとったといわんばかりのその顔を認識した瞬間、じいさんの顔は凍り付いた。

「まさか…おぬしじゃったとはの…」

(続く)
2014/10/22 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第3話 第2回
おはようございますこんにちはこんばんは!

今回の担当は渡辺です。

何か書こうと思いましたが、夏休みも(随分前に)終わり、特筆することがありませんでした!なんてことだ!
続々と名作が生まれている38物語ですが、ついに順番がまわってきてしまいました。
西野君の次ということで、前回もとんだ無茶ぶりを食らったのでヒヤヒヤしておりましたが…
なんとか、なんとか書き上げましたので、それでは、どうぞ!






「…しかし、本当に、まさかこんなものを作っているとはねえ…」
「ふぉふぉふぉ、これにはワシの男の"ろまん"が詰まっているのじゃ!そう簡単におなごには見せられなかったのじゃよ。どれ、そこの給油パイプにこれを入れてくれんかの。」

おじいさんがおばあさんに、カゴを渡す。

「はいはい…ってこれは、今日出た生ゴミじゃないですか。給油パイプって…まさかこれがエネルギーに?」
「最近のじゃ超効率性オイルが0.5リットルもあれば動くのじゃがな。
独自のバイオ…まあ、細かいことはいいんじゃ。この手間もろまんってやつなのじゃよ!」
「そうなんですねえ…それではちょいと失礼。」

おばあさんが給油パイプに生ゴミを投入し、おじいさんが赤いレバーを引くと、エンジンが作動する。
手慣れた様子で操作をし、黒ずくめの男たちの通信機を探知する。

「…まだそう遠くないみたいですねえ。」
「そのようじゃな。この分だと10分もあれば追いつけそうじゃ。慎重に追跡するぞい。」
「そうですねえ。」
「基本操縦や肉弾戦はワシが担当する。ばあさんは、このビームやミサイルを発射してほしいんじゃ。」
「あらあらまあまあ。私にできるかしらねえ。」
「安心せい。指示はワシがするし、操作も簡単じゃ。
それじゃあいよいよ、出発するぞい!」

おじいさんが操作をすると、巨大ロボットは自動で移動を開始し、あっという間に裏山の隠された出口に辿り着いた。

「階段の長さにも驚きましたけど、まさかこんなところに出口があるなんて気づきもしませんでしたねえ。」
「そうじゃろう。実はこの裏山の内部全体を基地として活用しとるんじゃ。ま、ちと違法じゃがの。
さあ、ぐずぐずはしとれん。飛行モードで一気を距離をつめるぞい!ちいと揺れるでの、気をつけるんじゃぞ!」

裏山の出口が開き、ロボットが横向きになる。おじいさんが操作をすると数個あるジェットが作動し、一気に基地を飛び出した。

「…ふう、ようやく出発できましたね。少し揺れるものだからびっくりしましたよ。
って、おじいさん?!どうしたんですか?!」

おばあさんが横を見ると、おじいさんはうずくまり、うめき声をあげていた。

「っ……こ…こっ……」
「こ?こってなんですか?!大丈夫ですか?!」
「こ……し、振動で……腰を…やってしまったようじゃ……年には…かなわんのう…ふぉふぉふぉ………」
「そ、そんな!おじいさんがいないでどうするんですか…もう出発してしまっているのに!」
「だ…大丈夫…操作は普通免許程度の知識があれば十分なんじゃ…指示はするからの、安心せい。なあに。この超即効湿布が効くまでの辛抱じゃて…」
「そ、そうですか…まあ、やるしかありませんねえ。任せてくださいな。」

なんとかおばあさんに操作を移し、おじいさんの治療を済ませる。
順調に敵の通信機を追っていく…かに思われた。

「あ、あらまあまあ!」
「どうしたんじゃ?」
「敵の通信機が……消えてしまいました…」
「なんじゃて?!…まさか、感づかれたか…!」

直後、背後から低い声が聞こえてきた。

「…愚かなマネを…!」

振り返ると、そこには、漆黒の、巨大人型ロボットが立ちはだかっていた。

(続く)
2014/10/20 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第3話 第1回
どうも、西野です。
最近ペットのクモ達が立て続けに脱皮しまして、その成長ぶりに喜びを隠しきれません。
めっちゃかわいい。
やっぱり生き物はいいですね。

さて、38物語も第3話ということで、ちょうど折り返し地点に入りましたね。
今回は【西野・渡辺・薄葉・清水】の4人でお送りします。
一体どんな物語になるんでしょうか。
では、スタート!



遥か彼方の銀河系に、とても地球と似ているが、科学技術がとても進んでいる星があった。
その星の辺鄙なところにある小さな山の上に、おじいさんとおばあさんが住んでいた。

おばあさんはごく普通に暮らしていたが、おじいさんは家の地下でなにやら作業をするのが日課となっていた。
ちょっと変わり者のおじいさんではあったが、2人はとても仲良く暮らしていた。

ある日のこと。

「じいさん、ご飯が出来ましたよ。」
「じゃあ飯にしようかのう。」

いつもとなんら変わりない、平和な一日。
そう思っていた矢先。

ドン!

勢い良く玄関が開けられ、黒尽くめの男たちが侵入してきた。

「なんじゃなんじゃ!」
突然の事態に、混乱する2人。

すると、男の1人が話し始めた。
「ここの土地を使い、新しく事業を始めようとしている御方がいらっしゃるのでな。早々に退去してもらおうか。」

「そう言われて、出て行くものがおるわけないじゃろう、なぁばあさんよ。」
「そうですねぇ、じいさん。」

「手段は問わないと言われている。やれ。」
「はっ」

黒尽くめの男たちはおじいさんを羽交い絞めにし、殴りかかった。

「な、なにをするんですか、やめてくださいな!じいさんが死んでしまいます!」
おばあさんが必死に止めに入るが、男たちはやめない。

「殺しはしない。ただ、ここを出て行かなければどうなるか、良く考えるんだな。
今日はここまでだ。行くぞ。」

散々殴ったあと、男たちは家を出て行った。

「じいさん!大丈夫ですか?」
「な、なんとか生きておるようじゃよ、ばあさん。」
「良かった・・・。でも、もうここを離れるしかないんでしょうかねぇ・・・。」
「・・・。」

長い沈黙が続いた。
2人とも、長い間暮らしてきたこの場所を離れたくは無かった。
ここには2人の思い出がたくさん詰まっている。
しかし、拒否すればおじいさんの命はない。
おばあさんが諦めかけた、その時だった。

「ばあさんよ、わしは決めたぞ。」
「ここを去るのですか?」
「いや、奴等に復讐するのじゃよ。」
「復讐って、こんな老人2人でどうやるんですか?冗談はよしてくださいな。」
「いいからばあさん、ついて来るんじゃ。」

おじいさんはおばあさんを地下へと連れて行った。

長い長い階段を抜けると開けた場所が。
なんとそこには巨大な人型のロボットがあった。

「これは!?」
「ふふ、ばあさんよ、驚いたようじゃな。わしがつくったんじゃよ。」
「毎日毎日地下で作業していると思ったら、こんなものを・・・。」
「最初は遊びで作っていたんじゃが、まさか使うことになるとはの。」
「これ、動くんですか?」
「もちろんじゃ。武装も完璧じゃよ。それに2人乗りじゃ。ばあさんにも手伝ってもらうぞ。」
「あらまぁ。でもあいつらの居場所がわからないんじゃないでしょうかねぇ。」
「さっき捕まったとき、とっさに通信機をつけておいたわい。こいつのレーダーで追えるはずじゃよ。」
「さすがじいさんですねぇ。」
「まずはあいつら、その後黒幕を倒しにいくぞい!」

操縦席に着く2人。
その姿はもはやか弱い老人ではなく、勇ましい戦士だった。

―復讐が始まる。


(続く)
2014/10/18 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第2話 最終回 「全ての根源」
続きを読む...
2014/10/16 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第2話 第3回 「衝撃」
皆さんこんばんは! 
本日は、最近犬を飼い始めて、かなり家に引きこもりがちな橋本が担当させて頂きます!

38物語の第2話。前回、ゲームの中の魔王の付き人と、コントローラーを握る「僕」が対峙するところで話は終わりました。

では、その続き、第3話のはじまりはじまり。




「僕」は単純にびっくりしていた。まさかゲームの世界も、現実の世界と同様に月日が経っているなんて。

このゲームは「スーパーファミコン」とかいう、僕のおじいちゃんが子供の頃に流行っていたゲーム機のものらしい。
つい最近、おじいちゃんの部屋でカセットと言われるものを見つけたのだ。

そして「僕」は、昔のゲームをパソコンに移して遊べる機械をわざわざ買って、このゲームを76年ぶりにやってみたのであった。


付き人は「は〜あ」とため息を付き、何とも言えぬ顔で年老いた勇者を見る。

「76年ぶりの戦い。これを今更やってもどうしようもない。だいたいお前、ここで戦ったとしてだ、魔王様を倒してだよ、どうするつもりなんだい。今更になって姫を助けに来ただなんて下らねえことは言うなよ。ほら見ろ。」


ヨイショ、ヨイショ…

そんな声が後ろから聞こえてきた。勇者はゆっくりと振り返る。

「なんぢやなんぢや、久しぶりのお客さんかえ。魔王にも友人がおったとは知らなんだ知らなんだ。」

白髪、ヨボロボの老婆がそこにいた。
身につけているドレスや冠は、ほころびていたり、さびていたり。まるでお化けのよう。


付き人がその老婆のところへ駆け寄り、事情を話す。かくかくしかじか。
老婆はそこでキッと勇者を睨みつけた。

「遅い!!!!!おまへさんの顔なんぞとうの昔に忘れていたわい!」


コントローラーを握る「僕」は何がなんだかわからない。急いでネットでこのゲームについて調べる。
ふむふむ、魔王に桃姫がさらわれてしまったと。そこで勇者が姫を助けに行く話だと。

!!!

76年の月日が経っているという事は、つまりそういうことだ。
目の前にいる、よぼよぼ、しわくちゃ強気なお婆さん。
あぁ。時が経つというのは悲しい事よ。桃姫というより、桃婆と呼ぶに相応しい。

魔王はゆっくりと玉座から立ち上がり、桃婆、いや桃姫のところへのそりのそりと歩いて行く。

勇者よ。おまへが来るまでのこの76年間、わしはずつとおまへを待つていた。わしだけぢやないぞよ。姫も一緒に待つておつた。お互い、待ちくたびれていたのぢや。わしも年を取るに連れて、ずつと姫を閉じ込めておくのはかわいさうだと思つてな。暇つぶしにふたりで悪魔の実を取りに行つたり、闇の森で一緒にゲートボールをしたりしたのぢゃ。今じゃ夫婦のやうなものだ。のう?

「さうよのお。今更勇者の元に帰らうなんざ、御免だね。あたしゃもうこの闇の世界がすつかり居心地の良い場所となつたわい。勇者よ、かへつておくれ。」

…かへつておくれ…? 衝撃の一言である。

勇者はなんとも自分が悪役のような境地に立たされてしまい、居ても立ってもいられなくなってしまった。
だがしかし、この魔王の玉座の間に来た以上、何もせず帰るのは勇者としてのプライドが許さない。

「わかつた。わしが来るのが遅かつた。それは謝らう。だが!このままおめおめと帰るわけにもいかんのぢや。…わしはどうしたら良いのかの。」

衝撃の一言に心臓も悪くなった勇者は、体力が持たずへろへろと赤絨毯の上に座り込んでしまつた。

(つゞく)




自分では展開させたつもりだったのですが、いかがでしたでしょうか。

ゲームの中の時間と現実世界の時間の流れが同じゲームって結構ありますよね。ど○ぶつの森とか...
私も、もし何十年か経ってプレイしてみたら村はどうなってしまうのだろうと疑問になったことがあります


次回は最終回です。村岡さんがこの老人同士の話をどう上手くまとめてくれるのか...乞うご期待です!

どうもありがとうございました!
2014/10/13 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第2話 第2回「進まぬ戦い」
こんばんは!ゼミ長の阪元です!
本日のブログは、38物語ということで、打ち合わせ無しで作り上げて行く4話完結物語!の第2話の第2回をお送りします!

いや、前回の第1回を担当した土屋さんにはやられました。僕の国語力が試されている気がします...。


ファッファーン!
突然、玉座の間にラッパの音が鳴り響いた。戦いの協奏曲である。勇気を駆り立てる激しいリズム、栄光を照らす高らかなラッパの音。玉座の間は、戦いの間へと姿をかえた。

「さぁ、ゆくぞや」
なんぞ?なんぞ?

協奏曲か、耳が遠いせいか、会話がままならぬ。それを、見かねて、付き人が、2人の間を行き来する。
「始めるぞ、と勇者が言ってますよ」付き人が。
あぁ、分かつた。

魔王は手に持っていた杖を、くるりと回転させた。そうすると、杖が怪しげな煙に包まれた。煙が消えると、さっきまで握られていた杖が剣に姿を変えた。

そして、勇者は剣に手をかける。

「滅びるのじゃ、魔王め!」と
付き人が魔王の耳元まで、駆けてゆく。

魔王は、付き人に耳を傾けて。
「やつてみろ」と。
付き人が勇者の耳元まで、駆けてゆく。

畳み掛けるように、盛り上がる音楽。

しかし、それに反するように、彼らの間合いはゆっくりゆっくりと。

ピーンと空気に緊張が走ったその瞬間、柄に添えていた2人の手に、力がはいる。そして同時に、鞘から剣が飛び出した。しかし、その力は一瞬限り。2人の剣は、重力に素直に地面へと引っ張られ、細く白い手は、剣の重さに抗うことが出来ない。

ファァーンっと、付き人が情けない声であくびをした。

「そもそもこの戦いなんて、意味ないでしょ。76年ぶりに来られてもこっちも困るし。久しぶりにゲーム起動されたからには、クリアすんのかと思えば、勇者も魔王もボロボロ、そりゃ76年も待たされてみろ、こうなるわ!そもそも76年前に中途半端に終わらせやがって、無責任だよ!この魔王、76年間ずっとこの玉座に座ってたんだぞ、全然来ないなーって。そしたら、いつの間にか魔王と名乗る奴らがゾクゾクと増えて....。やっと来たと思ったら、主人公も歳とってるし...。もうこの戦い悲しすぎるよ!!全部、お前が76年もほったらかしにしたからだぞ!このやろー!」

付き人は、テレビの前でコントローラーを握る僕を睨みつけて罵った。




悩みすぎて熱を出しました....。
2回目って、難しいですね、急な展開は早すぎるし(いやぁ、まぁ展開させたんだけども笑)、もう全てを投げ出したくなりました。

次は、橋本さんですね!!僕の丸投げをどう受け止めてくれるのか楽しみです!

さよなら!
2014/10/10 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第2話 第1回「因縁」
こんにちは!土屋です!
1話目がついに完結しましたね!

第2話【土屋・阪元・橋本・村岡】でお送りいたします。
前回の連載「写真deリレー」を覚えているでしょうか?!
お好み焼きを食べたがるかみさま土屋
妻を想うハンチングじいさん阪元
ミラーボールを眺め優越感に浸る女橋本
視界に入るお尻に恋するぼく村岡
このメンバーですよ!

さて、気づいている方もいらっしゃると思いますが、
この物語は打ち合わせなしで作り上げています。
つまり、私が第2話の出だしを書いていても、
私はこの物語の結末を知らないですし
他の三人は物語の雰囲気を知りませんでした。
私が記事を上げたと同時に登場人物やら世界観やらを知るわけですね〜!
今回の話はどんな結末になるでしょうか!!
私も気になります!

せっかくなので今回はサブタイトルをつけてみました!
タイトルは是非、第4回の村岡さんにつけてもらいたいとこです!
そして、第1回なので好きなように話を散らばさせてもらいました!
話の流れを気にしなくて良い分、話し始めは気が楽です!
それでは、私は好き勝手書かせてもらいますよ!!笑
村岡さん!結末は任せた!

———————————
第2話
第1回「因縁


暗雲、空に立ちこめて。
どこもかしこも消炭色。
ぼんやりと浮かび上がるは金色に
灯火纏った最後の城。
城へと続く一本は
いばらや沼を携えて
あちらへこちらへうねっている。

怪しげに茂る草木に恐れをなし
城への歩みを諦める者は数知れず。
歩みを進める勇気を備えた旅人さえも
びっこひきひき帰ってきたはまだいい方。
腹を空かせた悪魔どもの餌食になったら最後。
しまいにゃ道を引き返すことも出来ぬ。

ついたあだ名は地獄道。
はて、見慣れぬ者が歩いてゆくぞ。

彼が来たよ。ついに彼が来たのだね。
と、沼地の小さな悪魔ども。
そのよそ者は暗い城の中へすうっと吸い込まれていく。


はて、困つたわゐ。困つたわゐな。
と城の主。
深紅の布に金色で縁を彩った玉座にちょこんと鎮座している。

「どうされました?」
付き人は玉座の埃をはたく手を止めない。

ゐやはや、とをくからこゑがの、聞こゑたがの。
「はいはい、またですか」
付き人は無遠慮に呆れた声で返す。

さう、邪見に扱ふでない。

鼻息で自慢の白いヒゲがふわっと揺れた。
さて、この城の主。今年で御歳106歳。
左手には城の裏庭でこしらえたいびつな形の杖を持ち、骨と皮だけの身にはすすけた黒い外套がまとわりついている。
その外套が闇をも飲み込むつややかな漆黒であったころ、主は泣く子も黙る地獄の覇者として恐れられる魔王であった。
無論、今も魔王であるのだが、なにせ魔王界の中では現役最年長。
もはや過去の栄光と情けで魔王であることを許されている身分。
その昔、地上の全てを支配し、皆に恐れられていたあの頃と比べれば、その見目はどうにもみすぼらしいとしか形容できぬ。

やや、このこゑは誰ぞのだつたかの。

「まあまあいつものことじゃないですか」
付き人は興味を示さない。

あああ、さうぢや。やつぢや。
唐突に遠吠えのような声を出した。
魔王は耳が遠くなっており、近頃は声量をうまく調節できない。
そんなところも、付き人の神経に障っていることを魔王は知らないのであろう。

儂のたひせつな手下の奴の死に際のこゑが聞こえたんでの
付き人の手が止まった。
「手下って、門番の彼ですか」
さうぢや。
「いや、だって彼が門番になってから76年負けなしですよ。しかも、ここ38年は彼の出る幕もなかったじゃないですか」

云はれんでも知つとるが。
魔王は語気を荒げて答える。
年を経るごとに強まっていく魔王のその独特な臭いと、勢い余って口から飛び出してしまった唾を浴びて、付き人は思い切り顔をしかめた。

あの小僧はこの城をずつと守つてきてくれたと云ふのに。云ふのにぢや。よよよ。
「待ってください。死んだと決まったわけじゃ」
奴が。奴がつゐに來たのぢや。

付き人を遮ったその声は空気を震わせ、一瞬の静けさをもたらした。
憤怒と恐怖で見開いた目は虚空をつつと泳いでいる。

付き人は魔王の気がおかしくなったのだと心の中で決めつけ、しばらく止めていた手を動かしはじめた。

そのはたきが沈黙を破った瞬間であった。

かこん
と錠の落ちる音。
魔王と付き人は玉座の正面にそびえる大きな扉を見据えた。

「つゐに來てやつたぞ!」
扉の方から声が飛んでくる。その憎しみを絞り出すような声は城を震わせる。
こちらを睨みつけてくるのは紫紺の布を纏った男であった。
彼はこの世に生まれ落ちた瞬間から神の子と称され、幾度となく村人たちを魔の手から救ってきた。
あるときは村から逃げ出した羊を捕まえに奔走し、あるときは大病に効くとされる薬を探しに草むらを漁った。
そんな彼は村人たちから勇者と呼ばれていた。
しかし、それも昔の話。
いまや髪の毛は空気に負けるほど少なく、足元もおぼつかない。
右手には長年愛用している剣が収まっているが、重すぎて杖と化しているようだ。

ぺぺぺっぺぺっぺぺぺぺぺ
勇者は小気味よい音を立てながら、玉座へと続く長い赤絨毯の上を魔王に向かってふらふらと歩いてくる。
勇者が一歩引きずる度に、反動であごが上下に触れる。
今にも崩れ落ちそうなその背中は小さく、かつてのはつらつとした面影はまるでない。
それでも瞳は未だ精悍と呼ぶにふさわしく、視線だけはしっかりと魔王を捕らえていた。


また変な足音をたてをつて。
「おいおい。七十六年ぶりの友の参上やぞ。喜ばんかゑ」
ふん。お前を友と思ふたことなど、たゞの一度もないがな。

かくして因縁の魔王と勇者の戦いが76年の時を経て幕を開けた。

            (つゞく)
———————————


因縁の対決の結末はいかに〜
この物語、家族に添削してもらったのですが
弟に「悪魔とか闇とか中二病心くすぐられる〜」と評価されてしまいました笑

さてさて物語の行方を知るのは我らがゼミ長阪元くんですね!
乞うご期待!
2014/10/08 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第1話 最終回
続きを読む...
2014/10/06 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第1話 第3回
おはこんばんにちは、本日のブログを担当させて頂きます鎌田です!

今回のお題は「38物語」と題しまして、リレー形式でゼミ生で4人ずつ一つの物語を作っていくというもの。
まだ2話しか話は進んでいないですが、自分自身、この話の行く末が気になっています。まあこの先自分で作るんですけどね。
いろいろネタは浮かんだのですが、どういう方向に話を持っていけばいいのかわからず…。
何とかして予想外の展開に持っていくことはできないかと考えながら書いてみました。

それではしばしの間、お付き合いください!




俺は、人混みの中で圭を追いかけていた。
圭は早足でどんどんと俺から離れていってしまう。

俺、何か悪いことしたっけな…。
まったく、なんでこんなとこでまで圭に振りまわされなくちゃいけないのか。

「圭、ちょっと待ってくれよ!」

あと少し、もう少しで彼女の手をつかむことができるのに…何故か俺の手も声も届かない。
一体圭はどこに向かっているのだろうか。
何もわからぬまま無我夢中で彼女を追いかけ続けるが、人混みに紛れてその姿を見失ってしまう。

もしかしたら、圭はこのまま何の連絡もなく、自分の前からいなくなってしまうのではないだろうか。
俺は、そんな漠然とした不安を抱いていた。

頼む、圭…これ以上遠くに行かないでくれ…。

俺は必死に人混みをかき分けながら、その中から圭を探しだそうとした。
そして何とか圭の姿を見つけ出し、その手を掴んだ。

「おい、どうして逃げるんだよ!」

俺が強くそう言い放つと、圭は俯いていた顔を上げてこう言った。

「ごめんね、今日のお昼までにはもう…」

「お昼…?」

そう俺に告げるや否や、彼女は俺の手を弾いてそのまま人混みの中に再び飲み込まれていってしまった。
圭は、ひどく悲しげな表情をしていた。

「おい、圭…、圭!!」


手を伸ばすと、そこには俺の携帯が…。

結局睡魔に負けて、携帯を放り出して寝てしまっていたようだ。
気が付くと、じわじわと額から脂汗を流していた。

「なんだ、夢だったのか…」

落ち着きを取り戻したところで携帯の画面を見てみると、圭からの着信が何度も来ていたことに気付く。
圭からの連絡があったことに安堵しつつも、まだなんとも言えぬ不安に苛まれていた。
一体、彼女の身に何があったのだろうか。

「まったく、どうしたってんだよ…」

とにかくすぐに圭に電話をかけ直そうとリダイヤルのボタンを押そうとした瞬間、再び圭から電話がかかってきた。
俺はすかさず通話ボタンを押した。

「圭、お前一体何が…!」


俺は圭の一言に、言葉を失った。


外はまだ真っ暗。さっきまで降っていたはずの雨が嘘だったかのように、静けさを取り戻している。

待ち受け画面の時計は、昨日の0:38を指していた。


(続く)
2014/10/04 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第1話 第2回
どーも、こんばんは!
新しく1枚破ってすっかり薄くなってしまった2014年のカレンダーをつまんで、
猛烈に切ない気持ちに襲われた田村が本日の担当です。
朝晩涼しくなってもうすっかり秋ですね。


ちなみに昨日のゼミでは、ただいま森アーツセンターギャラリーで開催されている
「わたしのマーガレット展」を見学してきました。
普段あまり少女まんがを読まない私ですが、
たくさんの展示をまじまじと見つめるうちにものすごく少女まんがを読みたくなりました。
―――早い話がキュンキュンしたということです。笑
遅い時間だったので人は少なめでしたが、様々な年代の女性がお客さんとして
来ているのを見て50年という時間の長さもしみじみ感じました。


さて、今回のブログテーマは『38物語』ということで
前回の菊池さんのお話の続きを乏しい想像力をひねり出して書いていこうと思います。
それではみなさんお楽しみいただけますように…!


―――――――――――――――――――――――――――――


―――窓を打つ雨音で不意に目が覚めた。

のっそりと上半身を起こすとベッド脇に置いてあるスマホを手に取った。
画面が眩しい。時刻は午前3時を回ったぐらいだ。
当然だがアラームをセットしている時間よりもはるかに早い時間である。

「もう一眠りするかぁ…」

しかし一回スマホの眩しい画面を見てしまったせいでなかなか寝付けない。
再びスマホを手に取り、目を細めながらぼんやりと眺める。

「何度見ても、あれから圭から連絡は…
 …メールも着信もない…んだよなぁ。」


圭とは高校からの付き合いだった。
ドキドキしながら行った入学式の時、たまたま出席番号が隣同士だったのが
きっかけで初めて話しかけたのが圭だったのである。
思い立ったらすぐ行動する性質で、「いつか~に行きたい」という話をすれば
「いつか」ではなくその週末には行く、というぐらいだった。
高校を卒業しお互い別々の大学に進学した後にいたっては相談する間もなく
「唐突に連絡をよこしてその日のうちに会う」というパターンが多々あり、
我ながらそのたびよく付き合っていたものである。


「思い返せば圭には振り回されっぱなしだな…」

もっともそんな突然の誘いをどこか楽しみにしていたりするのだが。

それに急に呼び出す分、たいてい圭は待ち合わせ場所に先に到着していて
昨日のように待たされる、ましてや連絡もとれないなど
もしかしたら初めてのことかもしれなかった。


昨日、電話越しに受けた普段とは違う奇妙な印象が思い出され
もやもやとしたものが燻り始めた。


雨音を聞きながらしばらくぼんやりと天井を見つめていたが
一向に眠気は訪れない。
こんな時間にもなるとすでに睡魔も寝てしまっているのだろうか。


ふと思いついてTwitterを開いた。
300人近くフォローしているので個々のツイートが埋もれやすい上に、
昨日はあれから妙に仕事が回ってきて忙しく、帰りの電車では立ちながら爆睡し
家に帰ってからもシャワーを浴びてすぐ寝てしまったのでロクに見ていなかったのだ。

――何かわかるかもしれない。
もやもやを振り切りたい一心で圭のプロフィール画面に飛ぶ。


16時間前 これからm』


中途半端に送信されたツイート。
16時間前ということはちょうど昨日の午前11時から12時ごろだろう。
圭のツイートはこれを最後にぷっつりと途切れていた。

「うーむ…。何かわかるどころかこれじゃまるで…。」

いや、でも途中で送信しちゃうことはあるだろうし、
圭も昨日はめちゃくちゃ忙しかったのかもしれない。
けれどなんとなく引っかかる。


「やっぱり心配だな…。」


時間も時間だが気になって仕方なくなった…が、


…―『お掛けにな…』


数回にわたるコール音の後
それが聞こえた瞬間、急に怖くなって切ってしまった。


「どうして繋がらないんだよ…。」


外では雨足がどんどん強まっている。台風でも来てそうな勢いだ。
どこかで何かが風に飛ばされて転がっていく音が聞こえる。


(続く)
2014/10/01 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
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