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虚構と現実における地域性の影響
おはようございます…もうすぐ朝の5時を迎えようとしています。本日の卒論日記担当の鎌田です。
最近の話といえば…この前眼鏡を新調したのですが、気付いてくれたのはゼミの奥谷さんだけでした。奥谷さんありがとう。


というわけで、僕の卒論テーマは
『P.A.WORKSオリジナル作品にみる舞台モデルの地域性―虚構と現実における影響』
です。

P.A.WORKSは、富山県南砺(なんと)市に本社を置くアニメ制作会社です(首都圏以外に本社を置くアニメ制作会社は珍しい!)。
2008年に同市の町並みを舞台モデルとして描いた初のオリジナル作品『true tears』を制作し、繊細な心理描写に基づいた高校生たちの青春群像劇、そして忠実に描かれた風景描写が大きな注目を集めました。
このような実在する地域を舞台モデルとしたいわゆる「ご当地アニメ」は、今や決して珍しいものではなく、実際にその土地を訪れる「聖地巡礼」を行うファンも多く存在します。
中には舞台モデルとなったことをアピールして、町おこしを試みる自治体も。『らき☆すた』などがその代表的な作品と言えます。


『true tears』をはじめ、数々のご当地アニメを制作してきたP.A.WORKS。
その魅力とは一体何なのだろうか?という問いが、この卒論テーマを設定したきっかけです。
前述したように、繊細な心理描写や美しい風景描写はもちろんなのですが、僕はタイトルにも掲げている通り、

【仮定】
①少年少女たちの織りなす青春群像劇の中で、地域性(風土・歴史・伝統文化etc.)が舞台装置としての役割を果たしている(実際の地域→アニメ)
②実際の地域に住む人々や自治体、伝統文化にも大きく関わっている(アニメ→実際の地域)

という仮定のもと、その魅力を探ってみようと考えています。
つまり、アニメと実際の地域、いわば虚構と現実の2つの世界の関連性に注目してP.A.WORKS作品の魅力を論じるというのが、本論文の目的です。
『true tears』と地域性との関連性に関する先行研究は存在するのですが、僕はそれに加え、さらにP.A.WORKS作品を包括的に検証してみようと試みています。


研究対象として、P.A.WORKSオリジナル作品の中でも特定の地域を舞台モデルとした各作品
(『true tears(2008)』、『花咲くいろは(2011)』、『TARI TARI(2012)』、『グラスリップ(2014)』)、
地域自治体とのタイアップ作品(「富山観光アニメプロジェクト(2009)」参加作品、『恋旅~True Tours Nanto~(2013)』)、
そして富山県独自の施策である「とやま県民家庭の日」のPRを目的として制作された『マイの魔法と家庭の日(2010)』の7作品に焦点を当てて、検証をしていきます。


【検証方法】
①少年少女達の織りなす青春群像劇の中で、地域性(風土・歴史・伝統文化etc.)が舞台装置としての役割を果たしている(実際の地域→アニメ)

一次資料として各作品の視聴、また設定資料集や公式ガイドブックから得られた情報を元に、各作品の共通のテーマ(恋愛、葛藤・挑戦・成長、家族、大人と子供との対立etc.)を分析します。
そしてそこで描かれる地域イメージとの関連性を、各地域の風土や歴史、伝統文化といった地域性を参照しながら検証していきます。
例えば『true tears』では、富山湾が何回か登場する場面があります。
冬の日本海の波は荒いとよく言われるのですが、これが作中では登場人物たちの揺れ動く心情を表すものとして機能していることが、作品を観ることで分かるのです。
こういった例をつぶさに検証していくことができればと思います。


②実際の地域に住む人々や自治体、伝統文化にも大きく関わっている(アニメ→実際の地域)

観光協会やモデルとなった施設の方々、地域に住む住民の方々への取材をもとに、彼らの作品への関わり方や作品への反応、思いといった調査結果をまとめます。
また、前述した地域自治体とのタイアップ作品の紹介を交え、作品と実際の地域との関わりについて考察します。
地域文化への影響としては、『花咲くいろは』で登場した「ぼんぼり祭り」が、実際に舞台モデルとなった温泉街で毎年開催され、地元の祭事として定着しつつあることなどが例に挙げられます。
また、『true tears』で登場した「麦端まつり」のモチーフとなった「城端むぎや祭」には、日本全国から多くのアニメファンが、毎年踊りを観に訪れています。
このような、作品による文化の創出や再発見といった事象についても考察していきます。

どちらも二次資料として、P.A.WORKS作品に関する評論をまとめた同人誌や論文も参考に検証していきます。


という感じで、自分でもあやふやだった部分が、こうやって文字で解説することで頭の中で整理できてきた気がします…。
どちらの検証に関しても、ある程度資料や文献に当たってはいるのですが、まだ文章としてはほとんどまとめられていないので頑張らないと…という感じです。
提出まで既に残り1ヶ月を切っていますが、あまりサボり過ぎないように計画的に進めていきたいと思います。

最後に、南砺市限定で視聴できるアニメ『恋旅~True Tours Nanto~』の紹介動画で締めくくりたいと思います。
作中に登場する南砺の名所を実際に巡りながら物語も楽しむことができるというもので、僕は今夏と秋に2回行ってきました。もちろんぼっちじゃなくて友達とですよ!
現在は現地の各温泉施設とのコラボも行っているようで、また春までにもう一度行ってみたいなと思っています。

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2014/11/29 | 卒論日記 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
もんむす!
どうも、今回の卒論日記担当の西野です。

最近カギムシを飼いたくてしょうがないです。
知らない人は各自調べてください。あまり万人受けするものではないので自己責任で。個人的にはかわいいと思いますが。
見た目はナメクジとイモムシを足して引き伸ばしたかんじですが、肌触りはサラサラ。獲物を捕るときに粘着性の液体を飛ばしたり、胎生で赤ちゃんを産むものもいたりと、とても魅力的な生態をしています。
変な生き物ってやっぱりいいですね。

さて、そんなことは置いておいて、さっそく本題に入りましょう。
僕の卒論テーマは、『なぜ「モンスター娘」というジャンルが注目され始めたか』です。
そもそもモンスター娘ってなーに?って方が多いと思うので、まずはそれから説明したいとおもいます。
大雑把に言うと、、人間じゃない女の子キャラクターです。
人外娘とか魔物娘って言われたりもしますが、これらとはほとんど同じ感じで、明確な区別はされていません。
で、具体的にどんなものなのかというと、人間+他の生物の特徴を持ったものと考えてもらっていいでしょう。例を挙げると、ケンタウロス(上半身人間、下半身馬)やラミア(上半身人間、下半身蛇)、ハーピー(腕が羽、鳥の足)といったもので、ゲームやファンタジーの物語が好きな人なら1度は見たことや聞いたことがあるのではないでしょうか?
よくわからん!という人でも、人魚なら分かるんじゃないでしょうか?あれもモンスター娘に該当します。

で、近年徐々にこれらのキャラクターをヒロインにした漫画やゲームが増えているんです。
僕もいつの間にかハマってしまい、これらの作品を楽しんでいるわけですが、ある時、なんで自分はこのジャンルにハマったんだろう?と疑問を持ったんです。
かわいい女の子キャラクターなら、普通に人間で良いじゃないですか。
でもわざわざ異形の姿の女の子を描いていて、しかも人によってはそれが普通の女の子キャラクターよりも魅力的に思えてしまう。
これを調べたら面白そうだなーと思って、今回研究テーマにすることにしたんです。

この問いに対して僕の立てた仮説は、
・人間とは違った身体的特徴を持っているため、それを使って普通の人間では描けないシチュエーションが描けること。
・かわいい女の子と、人間とはかけ離れた外見という独特のアンバランスさ。
・空想上の生き物のため、描く人それぞれが、自分の思うままにオリジナルキャラクターを作ることが出来る。
ということがこのジャンルの特徴であり、魅力なのではないかと考えています。

検証方法としては、イラスト投稿サイトの『pixiv』で、モンスター娘のタグがついている作品を年代別に見てゆき、このジャンルの中でどのような変化が見られるか、どのような作品が影響を与えているのかを中心に見ています。
『pixiv』のサービス開始が2007年で、それから今に至るまでを対象としていて、現在は2012年までの調査が終了したところです。
2011年以降から、このジャンルの作品が急激に増えるので、思っていた以上に大変な作業になっていますが、なんとかがんばりたいと思います。

現在までの調査結果でも、いくつか面白い点が見つかっています。
例えば、最初の年となる2007年の時点では、ゲームのキャラクターを描いたものが大多数を占めていたのですが、翌年、翌々年と年が進むにつれて、オリジナルの作品が圧倒的に多くなっています。
それも、ラミアやハーピーといったメジャーなキャラクターだけでなく、作者の完全オリジナルモンスター娘も結構な数見られるようになっているんです。
また、特定の種族を描こう、という作者同士の企画なんかも行われていたりもします。このこともモンスター娘というジャンルが注目されてきていることの例として考えられるのではないでしょうか。

さらに、個人的にとても興味深かったことが2010年に起こっていました。
2010年はサッカーのワールドカップが開催された年です。
人間のキャラクターなら日本代表のユニフォームを着ていたり、サッカーボールを持っていたりするのが普通ですが、このジャンルは一味違いました。
みなさんは当時ニュースで話題になっていた、ドイツの水族館で試合結果を占っていたタコのパウルくんを覚えているでしょうか?
モンスター娘のイラストでは、なんとこのタコに目をつけた人達がいて、決して多い数ではありませんでしたが、一時期タコをモデルにしたキャラクターが見られたんです。
また、タコばっかり注目されていて、悔しがってるイカのキャラクターなんかも描かれていました。
こういったイラストは見られたのに、サッカー自体と関係するようなものは全く無かったとこを見ると、このジャンルは普通の人間キャラクターとはまた違った楽しみ方がされていることがわかるかと思います。

似たようなことでは、その年の干支に関係するキャラクターが元旦あたりに投稿されていたりします。
このように、話題になった動物なんかを使ってオリジナルのキャラクターを作り出すことが出来るのは、このジャンルの面白いところなんじゃないかと思います。

こんなかんじでひたすら作品を見ていって、その年の動きを見たり他の年との比較を中心に研究を進めています。
残された時間は少ないですが、悔いの残らないよう頑張っていきたいと思います。

以上!
読んでいただきありがとうございました!
2014/11/28 | 卒論日記 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
主にホラー映画観てます、卒論日記
こんばんは、本日の卒論日記担当の薄葉です。

もう、すっかり季節は冬ですね。今日バイト中に、ふと、大学生活最後の冬だし、冬っぽいことたくさんしたいなって漠然と思いました。よし、冬っぽいことたくさんするぞーー!(笑) あ、あと帰りのモノレールから見えた若干夕焼け色の富士山がすごく綺麗でした。

では余談はここまでとして、卒論のお話を進めていきたいと思います。
僕の卒論のテーマは『POV形式モキュメンタリー映画論』です。
モキュメンタリー??POV??となっている方もいらっしゃるかもしれません。
まずモキュメンタリーというのは、フェイクドキュメンタリーとも言われ、いわゆる嘘のドキュメンタリーという意味の言葉です。
実際には存在しない虚構の出来事や人物について、いかにも本物らしく作られたドキュメンタリーということになります。
またPOVというのは、point of viewの略で視点と訳され、映画では主に主観視点、主観ショットという意味で使われています。
そしてPOV形式というのは、基本的に作品が登場人物の持つ手持ちカメラの映像で構成されています。
つまり擬似的ではありますが、観客は作中人物と視点を共有することが出来るというわけです。
通常の映画では基本的に客観視点(神の視点、第三者視点)であることに対して、POV形式映画は主観視点で作品を観ることが出来るというわけです。
イメージを掴んでいただけるよう、日本でも公開され大ヒットとなった『クローバー・フィールド/HAKAISHA』(2008)の予告編を載せるので、よろしければご参照ください。


これらにはしっかりとドキュメンタリー形式の作品もあるなか、その多くは劇映画(物語があり、俳優が演じている)です。ただ手持ちカメラによって限りなくドキュメンタリータッチになり、なおかつフィクション(虚構)であり、つまりこれがモキュメンタリーと認識されている所以です。
そして圧倒的にホラー映画が多いです。

モキュメンタリー自体の歴史は古く、映画やテレビ番組を問わず多くの作品があり、日本で有名なのは、ジャングルの奥地に生息する未確認生物を追う『水曜スペシャル川口浩探検隊』などが挙げられます。
そのなかで『クローバーフィールド』のようなPOV形式モキュメンタリー映画が増えてくるのは2000年代(原点と呼ばれている作品は1981年)に入ってからと、比較的歴史は浅いです。
しかし現在までのこの短い期間の間でも、作品に見受けられる特徴やスタイルなどに変化が生じているのではないか、そしてそれはどのような変化なのかという疑問に対してのアプローチを軸としつつ、他ジャンル作品との比較を含め、POV形式モキュメンタリー映画全体の姿を解き明かしたい、というのが今研究の目的です。

上記の変遷に関する疑問に対して僕が立てた仮説は、
「初期の作品群に比べ、現在はモキュメンタリーでありながらモキュメンタリー性が重視されていないようなPOV形式モキュメンタリー作品も増えてきているのではないか」というものです。
モキュメンタリーは虚構の出来事を如何に本物の出来事のように見せるか、というのが肝となります。
つまりリアリティが重要になります。
またリアリティはホラー映画においても大事な要素の一つです。
POV形式モキュメンタリー映画には、その要素が非常に多くの作品に含まれているように感じています。
例えば『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999)、この作品は学生3人が魔女伝説で有名な森に入りドキュメンタリー映画を撮影しますが、そこで恐ろしい体験をし、最終的に3人は行方不明となり、彼らが撮ったと思われる映像が後に発見されるという筋書きです。
監督らはこの虚構の話にリアリティを持たすため、彼らの捜索願や新聞記事を作り作品のHPに載せたり、ケーブルテレビで偽の魔女伝説の番組を放送するなど、ものすごく手の込んだことを行い、これは実際にあったことなんです!と完全に真実と思い込ませようとしました。
初期、そして現在でもそのスタイルが主流であることは確かです。
ただしかしそのなかにも、ここ数年でこれまでとは違った傾向が現れてきているのではないか。例えば日本のPOV形式モキュメンタリー『戦慄怪奇ファイルコワすぎ!』シリーズ(2012~)はこれは実際にあった出来事なんです!と押し付けたりはせず、この話が嘘かホントかはそんなに気にしないでねというスタンスなんですね。ただ観客はそこに面白さを見出すことが出来るのです。
またひいては、単純にこれは実際にあったことなんです!と言いつつも、あえてそこにフィクション性を含ませたり、つまりメタ視点が取り入れられているのでは、といった作品も見受けられます。
この変化の一つの理由として考えられるのは、観客の目が肥えてきたということです。
POV形式モキュメンタリーは2009年に『パラノーマル・アクティビティ』が低予算でありながら大ヒットを記録するといったこともあり、2010年代に爆発的に作品の数が増えます。しかし過去のヒット映画の模倣作も多く、結果的に目新しさが無くなってしまった。
そのため一部の優れたクリエイターたちは、ジャンル自体に対して以前とは違ったアプローチを行うようになったのではないか。
このようなことをより多くの例を用いて論証していきたいと考えています。

また手持ちカメラを用いた通常のドキュメンタリー作品との比較(ドキュメンタリーの主観性客観性、カメラを持つ人間が物語に関わることについて)や、
POVと感情移入についても述べていくつもりですが、前者についてはまだほとんど手を付けていない状態で、正直危機感が半端ではないのですが、とにかくやるしかないです……やるしかないんです…。

なんとか自分を奮い立たせるためにも、最後に僕の大好きなインド映画『きっと、うまくいく』の名セリフを唱えたいなと思います。

「Aal Izz Well」(アール・イーズ・ウェル)きっと、うまくいく!!!

僕の、そしてゼミ生みんなの卒論がうまくいくことを願いつつ、本日の卒論日記を終えたいと思います。以上、薄葉でした!読んでいただきどうもありがとうございました。
2014/11/28 | 卒論日記 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
おいしく「食べる」グルメマンガ
こんにちは!副ゼミ長の女子のほう、渋江です!

最近めちゃめちゃ寒くなりましたね…。
今日なんて、中野名物・ビル風と相まって、大量の傘の墓場が道端にできておりました…。
台風でもないのに中野のビル風、強すぎる。

さてさて、ほんの少しだけゼミの活動報告を…
本日は我々4年生(4期生)が、3年生(5期生)に向けて、
自主的なゼミ内就活ガイダンスをおこなってきました!
3年生の抱えている就活への不安を、
ちょっぴり先輩の私たちが解消できたらいいなと、菊池さんが企画してくれました。

3年生にとって、少しでもためになる会になっていたら嬉しいなと思います。
ファイト!3年生!

それでは、私の卒論に…
「日本のグルメマンガのテーマ変遷~近年注目される「食べる」~」
というタイトル(仮)で私は、卒論を執筆しております。
我が宮本ゼミ的には、ドンピシャなマンガについての研究で、
その分クオリティにひやひやしています…。笑

書店のコミックコーナーに行かれる方は、なんとなく感じていると思いますが、
実は最近、話題のグルメマンガが増えているんです。
それは、『孤独のグルメ』、『深夜食堂』、『たべるダケ』のドラマ化だったり、
『リトル・フォレスト』の映画化だったり、
『花のズボラ飯』がこのマンガがすごい!で1位をとったり…
とにかく注目度がうなぎのぼりの「グルメマンガ」に非常に興味をひかれ、
この卒論を執筆することになりました。

明らかにしたい問いは2つ。
①「日本のグルメマンガのテーマはどのように変わっていったか」
②「現在の日本のグルメマンガのトレンドとは何か」
つまり、「グルメマンガの時代的な表現の変遷」という縦軸と
「今のグルメマンガの人気の理由・共通点」という横軸を問うていきたいなと考えています。


グルメマンガのテーマは、「作る」、「食べる」、「語る」、「つながる」の4つにわけることができます。雑誌記事の言説分析にのっとって、グルメマンガの歴史を振り返っていくと、テーマの変遷については、興味深い指摘ができます。
注目すべきは、70年代から10年ごとに生まれたそれぞれのグルメマンガのテーマの“流行”は、“定番”へと名前を変え、現在にも続いていることです。
最初のグルメマンガとされる『包丁人味平』のような「作る」グルメマンガは、2002年の『焼きたて!!ジャぱん』、2012年の『食戟のソーマ』と、時代は経ていてもテーマに大きな違いはありません。また、レシピの役割の大きい「作る」の1985年連載開始の『クッキングパパ』の系譜は、2013年の『おかゆネコ』などエッセイ本と組みあわせられ、その存在価値を誇っています。
また、「語る」グルメマンガの代表である『美味しんぼ』は、現在でも長寿人気マンガとして連載されています。「語る」グルメマンガの究極は、2006年の“食べない”『極道めし』や2010年の『めしばな刑事タチバナ』で、細かいウンチクを並べ、B級グルメを最高の料理にしたてあげました。
つまり、グルメマンガの流行してきたテーマは、「作る」と「語る」であり、それらは廃れることなく進化を続け、現在でも人気を保っています。
そこで、ここ最近人気となりつつある作品を見てみると、これとは異なった傾向がみえてきました。
『孤独のグルメ』や『たべるダケ』、『花のズボラ飯』には、「作る」や「語る」の要素もあるにはあるのですが、
どうも最も丁寧に描かれているのは「食べる」なのではないか?と考えました。
グルメマンガでは、「美味しく食べる」というものが当たり前の状景です。だからこそ、現在に至るまで「食べる」が大きく注目されることはなかった、というのが私の見解です。いままでに“流行”を経験してきた「作る」と「語る」の作品に進化があったように、当たり前すぎてスポットライトを浴びなかった「食べる」の表現やシーンも洗練されてきました。その再発見が2010年代に突入してからのグルメマンガの流行なのではないかというのが、私の仮説です。

長くなりました…。

グルメマンガの研究は、全体像を把握できるものや、レシピとともに紹介・分析されているものなど様々なのですが、
私の知りたい「食べる」(という動作やその描かれ方)についてだけ深く掘り下げられた研究はありませんでした。
そこで「とにかくモノにあたるのが一番!」と、
ひたすらマンガそのものにあたり、
データをとっていくのが、私の調査と研究となっています。
調査対象は、全部で59作品で、残り2割強です…。

独自にデータシートを作り、まだ誰もやったことのないような研究内容になるよう、
日々オリジナリティというやつに悩まされています。笑

これからもっと冷える日がきますが、
卒論への熱は冷まさずに、日々努力しなきゃなと思う今日この頃です。

それでは、渋江の卒論日記でした!!
読んでくださって、ありがとうございました!
2014/11/27 | 卒論日記 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
卒論日記〜終わるのか!卒論!〜
こんばんは。ゼミ長の阪元です。打ち合わせなしで取り組んだ、38物語どうでしたか?
各々のセンスが無理やり引っ張り出され、みながヒィヒィ言ってました。私もです。

今回からは、卒論日記へと姿を変えます、今までふざけ倒していたブログが急にアカデミックになるはず...です!みんなの一喜一憂が伺えるブログになることでしょう...

まず、私の卒論のテーマは、
「YMOは、サブカルチャー史においてどのような存在であったか」
です!このテーマに至るまで、紆余曲折があったのですが、そこは割愛して...
サブカルチャー史において、1980年頃は、重要なターニングポイントとして、考えられています。その当時に、非常に人気だったYMOを調べることで、その転換期を新しい角度から明確にしたいと考えて、このテーマにしました。表向きは。笑
本当は、YMOが好きだからなのです...笑 しかし、ただの、「好きなもの調べ」にならないように意識しております!笑

仮説は、次のような感じです(草稿から抜粋)。

YMOのスタートは、外国人の目から見た日本人のステレオタイプをあえて演じるポップス的「シャレ」と、東京という都市を「TECHNNOPOLIS」と読み替えることで音楽を風景として読み込む空間演出的な「オシャレ」の二つの側面があったが、最終的には、軽薄な流行としてその歴史に一旦、幕をおろす。この流れにおいて、YMOの活動は、演じる「シャレ」、空間演出する「シャレ」、そして、軽薄な流行としてのオシャレと、その音楽性やヴィジュアルを変化させる。この流れは、当時のサブカルチャー史とリンクしている。当時のサブカルチャーの担い手であった集団の変化とリンクしている。「シャレ」 を好むオタクと、「オシャレ」を好む新人気類が共存していた原新人類的集団が分出し、分出した新人類的な人々は、軽薄な「オシャレ」へと移行していく。この現象か表出した現象がYMOであったと考える。

です。この仮説は、宮台真司、石原英樹、大塚明子による『サブカルチャー神話解体』(ちくま文庫)から、着想を得ています。しかし、今、進めている調査だと少し違うかなと感じています...この三つの段階が、調査結果にしっかりと現れていないのが、正直なところです...。

調査方法は、YMOが活動していた1987〜81年の雑誌を調べ、イメージの変化を追うといったものです。今は、大衆誌の調査が終わり、その分析を行っているところです。音楽雑誌も、調査する予定なのですが、まだ進んでいません。やばいです...。

友達の
「やるか、やられるか、じゃねぇんだよ!やるか、やるかなんだよ!Do or Do」
っていう謎の言葉が、最近、頭の中でリフレインしています。ってぐらいやばいです。

まぁ、余談はここまでで。

現段階の調査結果としては、YMOのイメージは、3段階に分類することができました。 78年から79年12月頃までは、コンピューター、シンセサイザーから発想された無機的、機械的、難解、そのオリエンタルな衣装や、楽曲から発想されたオリエンタル性、無国籍性、そして、様々な要因から生まれた人間的というイメージがあり、かなりイメージが混在しています。しかし、一回目のワールドツアーをへて、記事の取り上げ方が異常に変わります。急激なヴィジュアルの消費が増えたのです。今までは、音楽に関わる写真、ライブの写真や、機材の写真が主だったのが、三人のオフの写真や、彼らのファッションの写真が増え、まさに流行としてのYMOへとイメージを変えます。そして、第二回ワールドツアーを終え、YMOの活動自体が減ると雑誌にめっきりのらなくなります。そして、久しぶりに紙面に登場した1981年の 7月、彼らは、ふざけ倒すのです。確かに、スネークマンショウとのコラボレーションを行うなど、元々彼らにそのような趣向はありました。しかし、それ以上にふざけたものだったのです。ここが、本当に面白いポイントなのですが、オリンピックとかでみるような体操のユニフォーム着た写真や、釣りしてる写真や、本当に脈絡のない写真が増え出すのです..。そして、その後、解散します。

うーん、不思議なグループだ。

複雑なイメージから、流行へ、そして、ネタ化する。

この流れが、サブカルチャー史的にどうリンクしているのか。ここがこの論文の核心なわけですが、ネタっていうのは、やっぱり、70年代から80年代のシラケを反映しているとおもうのですよね。じゃぁ、それ以前は?ってところなんですが、流行期は、ニューウェーブとかが出てきて、原宿あたりにニューウェーブ族?派?的な人々が生まれ出すのですが、それがいわゆる新人類にも分類されます。結論には、シラケ、新人類などのワードが重要になってくるのでは?とぼんやりと考えています。

初期の複雑なイメージの中には、敢えて演じるポップス的なシャレも少しだけですが、含まれています。このシャレが、YMOが流行すると共に、ファッションとしてのYMO=オシャレに変質して、それに触発された人々が、ニューウェーブとしての新人類が出てきます。そして、オシャレなYMOというイメージに対して、飽き飽きしたYMO本人たちが、敢えてふざける方法をとって、シラケの時代を体現した。といったような構図がぼんやりと浮かんでいますが、うーん、どうなんでしょう。このような形で、YMOとサブカルチャーの関係があるのでは?と考えています。

うーん、ほんとに難しいぞ。

まだ、音楽雑誌の調査も終わっていないし、当時の新人類などのカルチャー史的な部分のフォローも終わっていないので、当時の雰囲気などの知識が圧倒的に少ないのが今の所悩みです。文献をバンバン読んでいくしか、方法がないとはおもいますが....。

実際に、音楽雑誌内のイメージは、大衆誌とは全く異なってくると思うのですよね。それを、どううまくまとめられるか。そして、終わるのか!?笑

これからも、ながーい戦いが続く気がします。

それでは、ゼミ長の卒論日記でした!
さようなら!
2014/11/25 | 卒論日記 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第5話 最終回

みなさまこんばんは。
本日更新を担当します高柳です。

最終回に入る前に…
11月16日に国際日本学部に所属するゼミナール対抗のスポーツ大会が行われました!

わたしたち宮本ゼミ4期生はなんと…

バレーボール 準優勝!

しましたー!いやあ快挙ですね!
わたしは当日応援にすら行けず、みんなの勇姿を見ることができなかったのですが、サブカルだけじゃない宮本ゼミを見せることができたのではないかと思います!


さてさて、とうとうやってきました最終回です!
ゼミ生の更新を見ていて、こんなにも打ち合わせ無しでおもしろいお話ができるのかとびっくりすると同時に、
最終話の最終回を担当するというプレッシャーに負けてしまいそうな私がいます…笑

ですが、なんとかこのお話を最後まで楽しんでいただけるように書いていこうと思います!


それでは、最終話スタートです!




「…ねぇ翔太…ママって言った?」


翔太は自分がいったい何をしたのだろうかというようにぽかんとしていた。


「も、もう、話は終わりだ。ヒントをやるぞ。」
画面の向こうで犯人が焦ったように翔太の口を塞いだ。


「ヒントね。聞かせてちょうだい。」
そう言いながら私は考えていた。
この違和感の正体は何なのだろう。


翔太がママと呼んだこと
翔太の口を塞ぐ時にちらりと画面に映った犯人の時計


ひっかかるところがあった。
画面の数字は0:38。勝負に出るなら今だ。


「その時計珍しいデザインなのね。」
時計は革のベルトにイニシャルの刺繍が入ったもので、何年か前にオーダーメイドで作ったものだ。
その時計を持っているのはこの世にひとりしかいない。


画面の向こうの動きが止まった。
かかった、と私は思った。


「まだ、使っていたのね。」


「…ああ。」





「すまなかった。」
そういって私の夫だった男が頭を下げた。


「どうしてこんなことをしたの。すまなかったで済むと思うの?」
なぜか私の頭は冷静で、静かに彼を責め立てていた。


「ほんとうに馬鹿なことをしたと思っている。軽率だった。」
彼の頭が上がることは無い。



「ママ、ちがうよ。ぼくがパパに相談したの。」
画面の向こうから翔太がどこか大人びた目をしてこちらを見ていた。


「翔太…」
「どうしてなの?」
私は何がなんだかわからなかった。


「ぼくね、ママが大好きなんだよ。でもね、たまにママはぼくのこと嫌いなのかなって不安になるの…」
翔太の顔に影が映る。


「翔太が話したいことがある時も、お前がずっとスマホを見ているって、知らないうちに翔太を不安にさせていたんだよ。」



頭をカナヅチで打たれるっていうのはこういうことを言うんだ。


翔太を愛していることが当たり前に翔太に伝わっていると思っていた。
翔太にわたしに言えないことがあるはずがないと思っていた。


「ごめんね、ごめんね、ごめんね…」
私は画面にしがみついて泣いた。
翔太に淋しい思いをさせていた自分に腹が立って仕方なかった。


「翔太を連れてそっちへ向かうよ。」
ゆっくりと二人が立ち上がり、部屋から出て行くのが画面に映った。





「ママー!」


「翔太っ!」

「翔太、ごめんね、ママほんとうに馬鹿だった。」
「ママ、翔太のこと大好きよ。」
これでもかというぐらいの力で翔太を抱きしめた。



「翔太から相談を受けて、お前のそれは昔からだったから、少しやりすぎかなって思ったんだけど…」
「利き手が左手だったことを思い出して計画を思いついて…怪我させてしまったな。本当にごめん。」


「ほんとうにね。でも、大事なことを思い出したわ。」


「ありがとう。」





「だいぶ大掛かりなドッキリに引っかかったなう」
まだ少し涙目のわたしと恥ずかしそうに笑みを浮かべる翔太の写真。


「こんな時までツイッターかよ。しょうがないな。」
夫はあきれて笑っていた。


でも、きっとこれが最後のツイートになるな、と私は思った。


<終わり>




いかかがでしたでしょうか…!
打ち合わせ無しで進められた38物語もついに今日で終わりでございます!

いやー前の3人の個性が爆発したお話をまとめるのは非常に難しかったです…笑
楽しんで読んでいただけるといいのですが…


次回からは私たち4期生の卒論日記がスタートします!
こちらもどうぞよろそくお願いします!

2014/11/17 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第5話 第3回
こんばんわ。
今夜の金曜サスペンスを担当することになりました渋江です。
…嘘です。

なにもサスペンスと決まったわけではないのですが、
やってきました38物語第5話の「転」パート!

何を転がしゃええんや!と
今回も難しいお題をいただきまして、
大変苦し…楽しく書かせていただきました!

毎回毎回、個性が光まくるこの投稿群ですが、
井出、山内とうちのゼミでもなかなかアバンギャルドな人たちが続いて
最高に面白展開になっておりました。
私の投稿でそれがどう転ぶか、お楽しみいただければと思います…!

読んでない方は、是非2回前の井出くんの投稿から読んでくださいね(=゚ω゚)ノ

では!ラストスパートです!


ーーーーーーーーーーーーーーーー




残り2分10秒。


手元のiPhoneがリツイートの通知を知らせて、鳴り止まなかった。

ピポン・ピポン・ピポン・ピポン

小さい頃に見たウルトラマンのカラータイマーのように「時間がないぞ」と、
だんだん私を焦らせていく。

「そうだ、左の親指だ。理由なんかない。お前が息子への愛情を示すためなら、俺の言うことを聞くことを確かめるだけだ。」


「……」


画面上では相も変わらず、愛しい我が子がぐったりした様子で縛られている。
犯人の姿は見えない。
翔太の背後は黒のカーテンで覆われていて、どこにある場所なのかわからない。
ただ、散乱するゴミ、痛んだ畳、薄暗い電気、そこが不衛生で寂れた場所であることはわかった。

混乱した。
さっきまで、ツイート欲にかられ昂ぶった気持ちで全世界に最悪の状況を発信していたのに、
いまはもう、翔太のことで頭がいっぱいだ。

どうしたら助かる。
どうしたら私のもとに返ってくる。
どうしたら元の生活に戻れる。
どうしたら、どうしたらーーー

奇妙な高揚感と心臓をえぐるような心配を繰り返し、
私の心はもう崩れる寸前だ。


「プァーープァーーー」


近くを通ったらしい、豆腐屋のラッパの音が聞こえてくる。
いつもの日常を予感させるその音が、
今はひどく私を苛立たせる。

音を振り切るように首を左右にふった瞬間、
私はハッとした。
ブラウン管の画面からほんの少し遅れて同じ音が聞こえてくる。
コーラスののった歌のように、二重に聞こえてくるその音は、私に一つの確信を与えた。

このあたりで主婦を続けていればわかる。
この豆腐屋の主人のラッパは、調子が少し外れていて、唯一無二のものだ。
つまり、このラッパがほぼ同時に聞こえるということは、画面の向こうの我が子と恐ろしい悪人は、すぐ近くにいる。

そして、このあたりに
画面にあるような荒んだ状況を作りえる建物は、
私がいる《アパートエルヴィータ》だけ。

翔太は、
同じ建物にいる……!


親指くらいなんだ。
刺し違えてでも翔太は取り返す。


近くにいるという安心感だけで、

私は覚悟が決まった。


「…わかったわよ。見てなさい。」


私は、右手で包丁を持ち直し、
指示通り、左手の親指に刃を当てた。
犯人の悲鳴が混じった声が聞こえたが、構わず力を込めた。



「ァアアァァアアァ!!!!!」



切れの悪い包丁によって、指からは血が滴った。
利き手ではなかったため、力が入らず切断なんて無理だった。

翔太が風邪で寝込んだ時に作った、野菜たっぷりのお粥。
その時、焦って指を切ったのと同じくらいの痛みだった。
血がだらだらと流れ、見た目にはひどく大袈裟だ。
主婦ならこれくらいの経験あるんじゃないの?と、拍子抜けしてしまった私とは裏腹に、
犯人の震える声が聞こえた。


「…ぃ…よし。お前の愛情は…よく…わかった。息子を助けるヒントをやろう…。あ、そこにある包帯で止血しても、いいぞ。」


実際には、切断できていないのだから
私は要求に答えてすらいないのだが、
犯人はそれで納得したらしい。
妙だ。

止血をしながら、俯いた私の怪訝な表情に犯人は気付いていないだろう。
さながら、私は名刑事であった。
子を思う母の愛情は、ここまで人に賢くするのか。

(愛情……?)

犯人の言い回しに、ひっかかるところがあった。

「…ねぇ、ヒントの前に、翔太の声を聞かせて。」

「いいだろう、その指は見せるんじゃないぞ…騒ぐと厄介だからな…。」


一度、カメラが動かされ、翔太を映すのをやめた。
意地でも犯人は、自分の姿を撮られたくないようだ。
横にふったカメラによって、部屋の間取りが理解できた。
小さめの黒いカーテンが高い位置にかかっている。おそらく、出窓であろう。
私のいる308号室にも出窓が同じ位置についているからだ。
古いアパートだ。間取りが一緒ということが意味するものは大きい。

翔太のいる部屋が間違いなく、この《アパートエルヴィータ》にあれば、
おそらくそれは、108号室か、208号室のどちらかだ。


私が、火サスも顔負けの推理をしている間、
「起きろ、ママだぞ」と翔太が起こされる声が聞こえた。
乱暴はされていないようだ。


カメラがゆっくりと、翔太の方に向けられた。
私は、左手を後ろに回した。
眠っていたのか、翔太は眠たそうな声をしていた。


「ママァ…いるの?」


「……ママ?」


別れた夫は、翔太に、私たちのことをパパママと呼ぶことを強制していた。
私は、夫のそういうところが苦手だった。
翔太にママと呼ばれるたび、内心とてもくすぐったくてなんだか冷ややかな気持ちにさせられた。
離婚を機に今度は私が、同じようなことを翔太に強いてしまった。
ほんとはこういうのが、嫌だったはずなのにね。
それ以来、翔太が私を「ママ」と呼んだことはない。


「…ねぇ翔太…ママって言った?」




2014/11/14 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第5話 第2回
こんばんは!今回は山内が担当させていただきます!

2日前に更新されたストーリーの続きを私が組み立てていくのですが、
井出くんなかなかやってくれましたね…!

井出くんがラストまで書いたらどんな展開になるか気になる木ですが、
今回は山内が担当なので悪しからず。
どんな展開になってもブーイングは受け付けておりません。

今回は山内が担当なので悪しからず。(大事なことなので2回言いました)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私は今、正体不明の誘拐犯に左指を切断しろと脅されている。

どうしてこんなことになったか分からない。
うちは裕福ではないし、誰かの恨みを買った覚えもない。

ただ分かるのは、この状況が普通ではないということだ。

私は混乱する脳を冷静にして、こう思った。


今の状況、めっちゃツイートしたい…!!


お察しの人もいると思うが、私はツイ廃(ツイッター廃人)だ。
珍しい状況に立ち会うと逐一ツイートしたくなってしまう、一種の病気みたいなものなのだ。

前回「夫とは価値観の相違で離婚した」と説明したが、原因は夫が私のツイッターに対する熱意を理解することができなかったからだ。

「いつもツイッターばかり気にして…大学生かよ」

夫はいつも辟易した表情でそう言っていた。

いけない。昔のことなんて思い出してしまった。早くツイートしなくちゃいけないのに。
モニターに向かって私は問いかけた。

「ねえ、ちょっとつぶやいていい?」

すると、モニター越しに声が聞こえた。

「つぶやくって、ツイッターか?あっ、喋っちゃった」

声が聞こえたものの、誰であるかは見当がつかなかった。

「おい、他人に連絡するなって言ったのに、何世界に発信しようとしてんだよ!!」

「お願い!位置情報は解除しておくから!!」

「おま、子供への愛情よりツイッターが上回るのかよ!!」

「最終的に親指は切るから、ちょっと黙ってて」

『親指切断要求されたなう。MK5(マジで切る5秒前)』

ツイートは完了した。

すると、近所の世話焼きおばさんこと吉田さんがすぐにリプライしてきた。

『ウケるぅ~。で、どっちの親指?』

私はすぐさま返信する。

『左っぽいです。』
リプライをもらえると嬉しい。翔太の担任の伊藤先生からは拡散された。
反応してもらえることによって、快感が脳を駆け巡る。

そうしているうちにママ友の佐々木さんからもリプライが来た。

『私もつい最近要求されたよ~(>_<)左でしょ?』

ん?この状況は珍しくなかったのだろうか。
自己顕示欲が少し冷めてきた。

「満足したか?タイムリミットもあと少しだ。息子を傷つけたくなければさっさと切断しろ」
モニターから声が聞こえてきた。

翔太を助けるためなら致し方がない。
犯人が準備したであろう出刃包丁を握りしめた。

「おい、ちょっと待て。そっちは右だろう。左を切断しろ」

「…あんた、なんか左の親指に相当こだわりがあるようね?」


《つづく》

2014/11/12 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第5話 第1回

こんにちは!今回担当の井出です!

第5話、つまり最終パートの出だしということで、中々にプレッシャーを感じています。
日常、異世界、SF、ファンタジーと様々なジャンルで綴られてきた38物語、
ラストはどんなストーリーが良いかと悩んだ挙句、まずはとにかくインパクトで!という結論に至りました。

それでは第5話を【井出、山内、渋江、高柳】でお送りいたします。





「お母さん!ただいまぁ!」

小学三年になる息子、翔太が元気よく学校から帰ってきた。
この子の笑顔を見ると、朝から昼過ぎまでのパートの疲れも吹き飛ぶ。

「おかえりなさい翔太、帰ってきたらちゃんと手洗うのよ」

「は~~~い」

価値観の違いという、よくある理由で夫と離婚した後の生活は決して裕福では無いけれど、
家族二人、毎日暖かい時間を過ごすことができている。

時々パートが長引いてしまう日には、担任の先生の伊藤さん、近所の世話やきおばさんの吉田さん、ママ友だちの佐々木さん達に色々と助けてもらうこともあるし、これでも私は私を幸せ者だと思ってる。

「ご飯の時間までゲームする~~~」

「あんまり画面に目を近づけちゃダメだからねー」

「は~~~い」

ゲームに夢中で真剣になっている翔太を見ていると、自然と笑みが溢れて、なぜか落ち着いた気持ちになる。
ほんと、翔太はかわいい息子だ。
さて、夕飯の食材の買い出しに行かなきゃ。とは思ったものの、さすがに今日のパートはハードだったからか、急な眠気が襲ってきた。

「少し寝てから行こっかなぁ・・・」
そう呟きながら、私はテーブルに突っ伏して、眠りに落ちていった。






「…うーん?」

そうだ、買い物に行かなきゃなんだった。時計の短針は真っ直ぐ5を指していた。
ちょっと仮眠を取るつもりが、どうやら1時間半も寝てしまっていたらしい。

「お母さんちょっと買い物に行ってくるからねー、今日は何が食べたいー?」

――翔太の返事がない。というか、翔太がゲームをしている姿はそこには無かった。
どこかに遊びにでも出かけたのだろうか。ひとまず外出の支度を整え、玄関のドアを開ける。

「まったく、翔太ったら鍵もかけないで…」

あとで帰ってきたらしっかり言い聞かせなきゃ。
そう思ったと同時に、開けたドアの隙間から一枚の紙が揺れながら落ちた。拾って開けてみる。

「預カっタ アパートエルヴィータ308号室 1人デ来イ 他人ニ連絡スルな お前ヲ試ス」

「――えっ…?」

ど、どういうこと…?え?ちょっと待っ…えっ?翔太!?い、一旦落ち着いて。もう一度よく紙を見…

「翔太!!!翔太!!!!!」

大きい声で翔太を呼んでみても、どこからも、誰からも返事は無い。

「――誘…拐…?」

全身から血の気が引くのが分かる。
胸が締め付けられる思いと足がすくむ思いとで、地面に倒れ込んでしまいそうだ。
誰が?何で?そんな思いも確かにあったが、何よりもまず、翔太の安否が不安だ。

「――っ…!!」

私は全速力で駆け出していた。指定された場所はそれほど遠くない。
近所でたまに話題に上がることもある有名ボロアパートだ。
人が住んでいるという話は聞いたことがない。
他人に知らせるなという指示があった場合に、要求に応えて1人で事を進めても良いのかという迷いもある。
色々な不安からくる恐怖で押しつぶされそうだ。
それでも足は止まらなかった。
全力疾走を続け、走りだして10分程でボロアパートに着いた。

「…ハァ…ハァ……翔太…」

3階建の木造建築だ。外壁の塗装は剥がれかけ、雨水が染みこんで腐っている部分もありそうだった。
3階の部屋に行くためには外付けの階段を使うようで、その階段も本来の白の塗装が剥がれ落ちて、錆びだらけになっていた。
私は息を少し整えて、308号室へ向かう。

「…………。」

扉の前でもう一度息を整え――ガチャリ。
鍵は開いていたので、私は無言で扉を開けた。
六畳一間の部屋には物はあまり無く、人もいなかった。
そんな簡素な部屋だからこそ、部屋の中央にあるテーブルの上に置かれている斧、ノコギリ、先が鋭利な鉄パイプ、ペンチ、鋏、出刃包丁、小型テレビ、二つ折りにされた紙に目が行った。またしても足がすくんだ。

「まず…調べなきゃ……」

部屋を見渡すと、天井の四隅にそれぞれ監視カメラが設置されている。
犯人はあれを通して私を見ているのだろうか。
――ブウゥン。いきなりテレビの電源が入った。

「翔太っ!!!!!」

テレビには、翔太が口をガムテープで塞がれ、手を後ろで縛られている映像が流れた。
その床にはナイフが写り込んでいた
。この映像がリアルタイムなのか録画なのかはわからない。
けれどこの子を助けるためには、指示に従うしか無い。そう決意した。

「……?」

テレビ画面の左下に表示されている時間が、減っている。
5:00、4:59、4:58、4:57、だんだんと焦燥感に慣れていってる自分がいた。
落ち着いてテーブルの上に置かれている二つ折りにされた紙を広げてみる。

「子供へノ愛情示セ 左手親指切断 そレでヒントやル」

試スって、これか。
だからブッソウな道具がこんなにあるのか。
好きな道具を選べってことなのか。
確かに戸棚には包帯や止血剤もあるようだし、ガスコンロも使えそうだ。けれど、

「これって、何なの?」

思わず口をついて言葉が出た。ほんと、この一言に尽きる。
私が何か悪いことした?翔太が何か悪いことした?
幸せだったのに、幸せだったのに…。
元気よく帰ってきて、ただいまぁ!という翔太の顔が浮かぶ。
テレビに映ったおそらくタイムリミットである数字は、4:38だ。




私は、私は――。



<続く>

2014/11/10 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第4話 最終回
どうも~本日の担当は奥谷です(^^)

文化祭も終わってしまい、なんだかぼんやりしてしまう今日この頃。
残る学校行事も数少なく、時間の限られた学生生活を思うと
一日一日を大切にしなきゃなぁ、なんて考えています。

そんな私が最近抜け出せないものが、お布団です。
起床時間はだいたい昼12時とかです。
この頃めっきり寒いですからね。仕方ないですね。

はい、そんな私のどクズ話は置いといてですね。
38物語第4話、運命の最終回です!!どどん!!!

とりあえず、前回までのざっくりとしたあらすじですが…
「僕」が電車でふと気になった女の子、後をつけてみるとなんとその子は魔界の王女だった――
みたいな話でしたね。
前半の爽やかな文脈から一転、まさかこんな展開になると思ってもいませんでした。
魔界て。王女て。

かなりの急展開に頭を悩ませましたが、こんな最終回になりました。
それではどうぞ~!

=========================

「なんだよこれ…。」
目の前に広がる光景に、僕は頭がクラクラした。
振り返ると、さっきまでそこにあったはずの噴水や公衆トイレはなく、ただ真っ黒な空間がぽっかり口を開けているだけだった。

「ほら、いつまでヘタれこんでるの、早く立ちなさいよ。」
声のする方へ顔を向けるとそこにはいつの間にか目の前に回り込んでいた矢野ちゃんが立っていた、
ていうか矢野ちゃんの背中から大きく真っ黒な翼が生えていた。
さっきまで着ていた清楚系コーデは一転、全身黒のドレスを身にまとい、妖しく微笑む矢野ちゃん。
嘘だろ、夢だろ、だってこんなの…と自分の頬をつねってみる。痛い。

「あのさぁ~人様の秘密のぞいておいて何その態度?そもそもあたし目立たないようにちゃんと狭い道通ってきたよね?わざわざついてくるなんて、よっぽどのモノ好きだよね~ていうかフツー女の子の後つけてくる?ありえな~い!

こんな口調、とても矢野ちゃんのものとは思えない。
普段の矢野ちゃんは敬語がしっかり使えて、常に低姿勢で、ニコニコしてるのに…。

やっとの思いでフラフラと立ち上がり、喉がカラッカラになりながらも、改めて聞いてみる。
「きっ君は本当に、矢野ちゃんなのか?」
「はァ?じゃなきゃ誰よ。『アナタのハートに矢を放つ♡ 矢野茉莉菜19歳です♡』」
ふいにやられた、キャッチコピー混じりのいつもの自己紹介。
これは本物だ。くっそカワイイ。
こんな状況下でもハートに矢が刺さってしまう自分に情けなさを感じながら、彼女が本物であることを確信した。
と同時に、ある感情がふつふつとこみ上げてきた。

「あのさぁ…つまりキミは、僕らの感情を利用していたワケ?」
「え~?当ったり前じゃん。あたしがちょこっとかわいく振舞うだけで、みーんなバカみたいにあたしの虜。こんなに簡単にエネルギー貯まるなんてちょろいもんよねー」
「………。」
「人間界に来る前はすっごい苦労してたんだけどね~ホントあなたたちのおかげだわぁ~」

「矢野ちゃんさぁ」
思わず声が大きくなった。一瞬ビクッとひるむ矢野ちゃん。

「僕らが、ファンが、どんな思いで矢野ちゃんのこと応援してるか知ってる?矢野ちゃんは本当にいい子だから、ずっとひたむきに頑張ってきてるから、応援してるんだよ?娘にしたいって言うようなファンだっているくらいだ。今じゃ確かに有名になって、メディアとかバンバン出て、たくさんのファンがつくようになった、だけど、だけど!最初の頃は、地味に活動してたよね?目立たないところで一生懸命踊ってさ、いつも笑顔でさ、それも、それすらも!全部ウソだったっていうのか!!?

矢野ちゃんがハッとした顔で僕を見た。
そうだ、僕は矢野ちゃんがデビューする前から彼女を追い続けてきたんだ。
スポットライトも当らないバックダンサーの一人として、それでもキラキラの笑顔を振りまいて踊る矢野ちゃんを、僕は見守り続けてきたんだ。
それが全て嘘だったなんて信じたくないけど、でも、でも……。

そのときだった。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………

思わず耳をふさぐような轟音、見ると扉がバラバラと崩れてきているではないか。
黒猫が叫ぶ。
「しまった!!マリナ、早くこいつを始末するか魔界へ連れていくかしないと、俺たちの命まで危ういぞ!!」
「ちょっ、ええええええ!!???
パニくる僕。こんなことなら途中で電車降りるんじゃなかった。大人しく帰ってCD聴いてればよかったんだ。
ああ、父さん母さん、今までありがとう。
さよなら――



と思った次の瞬間、
「いっけーーーーーー!!!!!!」
僕の身体が、ブンと宙に投げ飛ばされた。
見ると、息を切らせて顔を真っ赤にした矢野ちゃん。
ああ、ダンスで鍛えたんだね、すごく力持ちだ、そんなキミもステキだよ――……



「次はーたかだのばばー、たかだのばば…」

ハッと目が覚めた。左肩に重い感触。見るといかついお兄さんが僕の肩にもたれてグーグー眠っている。
あー、良く寝た。次で降りなければ。

そういえば、と思って僕はタワレコの袋から1枚のCDを取り出した。
僕の大好きなアイドル、矢野茉莉菜の2ndアルバムだ。
このアルバムを発表した時の矢野ちゃんのコメントが素敵だった。

『みなさんの思いが、私のエネルギーになるんです。ファンのみなさんには、本当に感謝しています。』

あれは雑誌のインタビューだっけ、それともネット動画で見たんだっけ。
そんなことを考えながらふとCDをひっくり返して、僕は驚きのあまりそれを落っことしそうになった。

そう、そこにはなんと、矢野ちゃんのサインがあったのだ!しかも今日の日付が入っているうえに、どうやら直筆っぽい。
初回限定版の特典でもないし、なぜサインが……?

「たかだのばばー、たかだのばばです」
駅に着いたようだ。僕は慌ててCDを袋に入れると、バッと立ちあがり電車を降りた。

タワレコの袋から、ふわりと黒い羽根が落ちた。

〈完〉
=========================


はい!長くなってしまいましたが、いかがだったでしょうか。
篠崎さんの第1回からは想像できない展開になったのではないかと思います。
矢野ちゃん矢野ちゃん書きすぎて、PCの予測変換で出てくるようになりました。

前回のテーマ「写真deリレー」もそうでしたが、
想像上のお話を書くのって大変ですけど楽しいですね!

では、今回はこの辺で締めさせていただきます。
次回の38物語もお楽しみに~!
2014/11/07 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
38物語 第4話 第3回
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
本日の担当の湯澤です。

お話を始める前に、1つご報告をさせてください。
先日、11月1,2日は、明大祭でした!!
我が宮本ゼミも、第三校舎33番教室にて、ジブリアニメ「風立ちぬ」をコンセプトにしたカフェ、「カフェ立ちぬ」として参加しました!!
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コスプレ店員やシベリアのおかげか、予想を大幅に上回る多くのお客様にご来店いただき、大成功を収めることができました!
ご来店いただいた皆様、改めて、誠にありがとうございました!!
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さて、本題に入りたいと思います。
前々回、前回の篠崎さんと秋山さんの紡いだ物語が素晴らしかっただけにとても難しかったです。
爽やかなボーイミーツガール調の物語の続きを書く事は、未だ、ミーツガールを果たせていない僕には至難の業でした。
悩み過ぎて、更新が一日遅れてしまったことを心からお詫び申し上げます。
大変申し訳ありませんでした。

苦心して、なんとか絞り出したので、しばし、お付き合いください。




パッチリした目を大きく見開いてキョトンとこっちを見る女の子の顔を僕はよく知っていた。

矢野茉莉菜。通称「矢野ちゃん」。

僕の左手のタワレコの袋の中には発売されたばかりの彼女の2ndアルバムが入っている。
矢野ちゃんはNKN38(本当は38人もいないらしい)みたいなアイドルグループ全盛の現在には珍しいソロアイドルだ。
19歳なのに女子中学生くらいに見える童顔と、さらっさらの黒髪ロングでジワジワと現在人気急上昇中。
今時珍しい、おしとやかな正統派のアイドルで、少し天然が入っているような性格も魅力的だ。
最近、雑誌のグラビアやテレビドラマでも彼女の顔を見かける機会が増えてきた。

デビュー前に先輩アイドルのバックダンサーとして踊る彼女をたまたま見て、雷に打たれたような衝撃を受けた。
それ以来、僕は一途に彼女を推し続けている。

その彼女が今、僕の目の前にいるのである。
あまりの出来事に頭が真っ白になってしまった。

「ご、ごめん... 」

思わずそう謝った僕を見ていた矢野ちゃんは突然、
「あぶないっ!!」
と叫んだ。

次の瞬間、轟音と共に紫の雷が僕のすぐ横に落ちた。

「あーあ。どうしてくれんの?君のせいで、失敗しちゃったじゃん。」

矢野ちゃんは今まで見たこと無いような、険しい表情で僕をにらんでいた。

「え...ごめん...どういうこと?」
頭の中は?マークで一杯だが、なんとか言葉を絞り出す。

公園の茂みからさっきの黒猫のうちの1匹が現れた。
「こいつはまずいことになったぞ、マリナ。今月分の仕送りがパアになっちまった。お父様はきっとカンカンだぞ。それに人間のガキに儀式を見られちまった。」
僕は夢でも見ているのだろうか...猫がはっきりと日本語を喋っている。

「マジで最悪。今月は2ndアルバムも出て、絶好調だったのに。ほんっっとうについてない。」
矢野ちゃんはとても不機嫌そうだ。言ってることは意味不明だけど、怒った顔もかわいいなあ。

「あの、話が全く飲み込めないんですけど...良かったら少し説明を...」
僕は勇気を振り絞って、説明を求めてみた。

「はぁ...」
矢野ちゃんは大きくため息をつくとこう続けた。
「君さぁ、口堅い?今から話す事、何があっても誰にも言わない?ま、後で記憶消せばいいんだけど。」
僕が無言でボブルヘッド人形のように首を何度も振ると、矢野ちゃんはクスッと笑って話を始めた。

「あたしねぇ、今、人間界に出稼ぎに来てんの。」

その後の彼女の話は荒唐無稽で、にわかには信じがたかったが、まとめると以下のようなものになった。

矢野ちゃんの正体は、人間ではなく、魔界の王女。魔界でのエネルギーは人の気持ちで、中でも、「恋する気持ち」は大変優秀なエネルギーだという。魔界は今、深刻なエネルギー不足に悩まされているため、彼女が出稼ぎに人間界に来ている。
日本に来た理由は、日本のアイドルになることが、大量の「恋する気持ち」を最も効率的に集められるからだそうだ。

そこまで話を聞いたところで、僕は凄まじい恐怖感に襲われた。魔界なんてあり得ないだろうけど、この状況はヤバい。とにかくここから逃げなきゃ。
全速力で逃げようとしたが、4歩目で小石につまずき、派手に転んでしまった。

その時、左手に持っていたタワレコの袋から、矢野ちゃんの2ndアルバムが飛び出してしまった...

「ふうん...君、私のファンなんだぁ。へー、ってことは私のこと好きなんだよね...ちょうど良いや。とりあえず、君をお父様に捧げれば、少しは怒りも治まるかもね。」
そう言って、いたずらっぽく笑うと、彼女は指をパチンと鳴らした。

すると、ギリシャ彫刻風の柱の間に、どす黒いオーラを放つ、禍々しい扉が現れた。




いかがでしたでしょうか。
起承転結の「転」担当なので、張り切った結果、完全にやり過ぎた感も否めないのですが、これが限界でした。どうかご勘弁ください。
次回は、大変優秀な奥谷さんなのでバシッと締めてくれることでしょう。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
最終回も乞うご期待!!
2014/11/06 | 38物語 | コメント(-) | トラックバック(0) | page top↑
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