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未夏
おはこんばんにちは!今回のブログを担当させていただきます鎌田です。

「写真deリレー」シリーズ、まだ半分もいっていないのですが、みんなクオリティ高くてびっくりしています。

さて、井出くんから頂いた写真をパソコンに保存してじっと見つめているわけですが…
うちの近くの工場地帯にもこういう得体の知れない建物が建っていて、よく周辺を地元の友人とチャリで回ったりしていました。
中には地図にも詳しく載ってない場所があったりして、未開の部族が住んでるんじゃないかと噂をしていたこともありました。大学2年の時の話です。
そして時折見かける「立入禁止」の看板。そう書いてあればあるほど入りたくなっちゃうんですよね。そしたらただの工事現場でした、というのがよくあるオチだったり。

そんな好奇心旺盛な小学生時代(~大学2年生)のことを思い出して書いてみました。





小学6年生の夏休み。僕はとある女の子と出会った。

僕は毎年お盆休みに、両親と一緒に田舎のおばあちゃんの家に遊びに行っていた。
僕は小さい頃からおばあちゃん子で、毎年田舎に帰ってはお小遣いをもらったり、美味しいご飯をいっぱい食べさせてもらったりと、楽しいことづくしの一週間を過ごすことが、毎年の夏休みの楽しみだった。

小学生最後の夏休みも、おばあちゃんの家で過ごした。
昼過ぎにおばあちゃんの家に着き、薬味の刻みネギとミョウガが効いた冷や麦と、少し大きめに切り分けてもらったスイカを頬張った後は、縁側でのんびりお昼寝タイム。
ふと寝返りを打って横を見ると、部屋のテーブルに置かれたプリントと問題集が目に入る。

「………」

溜まりに溜まった夏休みの宿題。しぶしぶと手をつけてみたものの、10分もしないうちに集中が切れてしまった。

僕は気分転換に、近所の田んぼ道を散歩することにした。
何か面白いものでも見つかるかな、と幾ばくかの冒険心を携えながら。



夕方5時過ぎ。だんだんと田んぼの向こう側に沈んでいく夕日が、辺り一面をオレンジ色に染めていく。
こんな風景はなかなか都会では見られないなー、とちょっぴり感動しながら、人気のない田んぼ道を一人歩く。

ふと、田んぼの真中にぽつんと佇む、小屋が併設されているバス停が目につく。
バス停の標識は錆び付いていて、時刻表にはまばらに書かれた数字。今日はもうバスは来ないようだ。
小屋の中をのぞき込むと、ベンチに麦わら帽子にワンピース姿の女の子が座っていた。
僕とあまり歳は変わらなさそうだ。地元の人なのだろうか。
僕は怪訝に思いながらも、おそるおそる彼女に声をかけてみた。

「ここで何してるの?」
「ん?友達を待ってるの」
「友達って…バスも人も来なさそうだけど」

こんな人気のない田んぼの真ん中で何をしているのだろうか。
と不思議に思っていると、彼女はすっと立ち上がり、僕の顔をじっと見つめてきた。

「キミは地元(ここ)の人?」
「いや、東京からおばあちゃんの家に泊まりに来たんだけど…」
「ねえ、あたしと一緒に付いてきてほしいとこがあるの!」

彼女の目は、親におもちゃを与えられた子どものようにきらきらと輝いていた。
僕はいきなりの誘いに、戸惑いを隠せなかった。

「えっ、でも友達を待ってるって」
「いいから来て来て!」

彼女に手を取られ、有無を言わさず連れて来られたのは、田んぼの外れにある林の中の廃屋だった。
いきなり見ず知らずの女の子に変な所に連れて行かれて、まったく状況についていけない僕だった。

「この中に誰か人が出入りしててね、何か物を置いていってるっていう噂があるんだよ。ちょっと覗いてみない?」
「でもこの入り口、閉まってるから入れないんじゃ…?」
「大丈夫!こっちからだったら頑張って登れば入れるよ」

と言うなり、彼女は裏手の窓からよじ登り始めた。
ちょっと、そんな格好してたら、ワンピースの裾から見えちゃうよ…。
白い肌に細い腕という見た目に反して、とても腕白な女の子。
僕は半分の戸惑いと半分の好奇心を携えながら、彼女に付いて中に入っていった。

結局、廃屋の中は埃を被った成人向け雑誌が床中に敷き詰められていただけだった。

「うわっ何これ!気持ちわるー」
「誰か近所の変態オヤジが捨てに来てただけなんじゃないかな…」
「えっ何それー、そんな人この辺りにいるんだー」

僕は少し恥ずかしくて目を逸らしてしまったが、女の子はその中から一枚の切り抜きをつまみ上げて僕にヒラヒラと見せつけようとしてきた。

「男の子って、こういうの興味あるんでしょ~?」
「いや、いいからそういうのマジで!」

彼女の鈴を転がしたような無邪気な笑い声につられて、つい僕も笑ってしまった。

「ねえそしたらさ、あっちの台所に何があるか見てみようよ!」

いつの間にか僕は、彼女と一緒に「冒険」を楽しんでいた。



僕はそれから毎日、その女の子と待ち合わせをして遊ぶようになった。
夕方5時、バス停前の小屋から始まる秘密の冒険。

女の子の名前は「未夏(みか)」と言った。
どうやら地元の人のようで、この辺りの地理に詳しく、いろいろな所に連れて行ってもらった。
何に使われていたのかわからない工場。草木の生い茂った、怪しい雰囲気の漂う廃旅館。
こんな田舎にも昔はいろいろな施設があったんだなあ。それにしてもこんなによく知ってるものだ。
彼女は一体どこに住んでいるのだろうか。

6時の夕飯までに帰らないとお母さんに怒られてしまうから、たった1時間の冒険しかできなかったけれど、一週間のうちにいろいろな所へ一緒に行った。


何にでも好奇心旺盛だった、あの頃の僕。
未夏とだったらどこへでも行ける気がした。



そしてついに、家に帰る日が翌日に迫ってきた。
あっという間の一週間だった。冒険も今日でおしまいだ。
未夏にはなんて言えばいいのだろうか…。
僕は彼女にかける言葉に悩みながら、バス停へと向かった。

彼女はいつものように、冒険に行く場所を提案してきた。

「この前ね、またおもしろそうなとこ見つけたんだよ!」
「どこどこ?」
「こっからちょっと遠いんだけどね、この前行った林を田んぼの反対方向に抜けた所に立入禁止の看板がある建物があったんだけど、何の建物だかわからなくて気になってるんだ」

僕はその日は帰り支度があるので、5時半までには帰って来いと言われていた。

「ごめん、今日は早く帰らなくちゃいけないからあまり遠くまでは行けないや…」
「どうして?」

この一週間が楽しすぎて、別れを切り出すのが少し辛かった。

「…実は僕、明日には東京に帰らなくちゃいけないんだ」

未夏はしばらく黙っていたが、またいつも通りの笑顔を見せてくれた。

「…そうかー残念だなあ!また来年の夏も来てくれる?」
「うん。そしたらまた一緒に冒険しよう」
「ほんとに?約束だよ?」
「うん、約束する」

彼女の唇がそっと僕の頬に触れた。
その時の未夏は、どことなく悲しい表情をしていた。

当時は携帯なんてものも持っておらず、それっきり未夏の所在はわからなくなってしまった。
せめて住所を聞いておけばよかったのか…と気付いたのは、家に帰って暫く経ってからのことだった。



中学に入ってからは勉強や部活で忙しくなり、おばあちゃんの家に行く時間もなくなってしまった。
未夏との一週間の思い出も、少しずつ風化していった。



あれから10年。
僕は大学に入って一人暮らしを始めたものの、特に夢もやりたいこともなく堕落した生活を送っていた。
ろくに就活もせず、バイトで余ったお金で一人旅をする日々。
学生最後の夏も終わり、もうすぐ後期の授業が始まろうとしていた頃、おばあちゃんの容態が悪くなったという連絡があり、久しぶりに家族揃っておばあちゃんの家に行った。

幸い命に別状はなかったということでひと安心した。10年ぶりに見るおばあちゃんは、あの頃の面影もないほどに痩せ細っていた。
僕は少々季節外れのスイカを差し入れ、切り分けてみんなで食べた。
母親は冷や麦を振る舞ってくれた。薬味には刻みネギと生姜が添えられていた。
翌朝からバイトのシフトが入っていたので、一足先に帰路に就いた。



夕方5時。バイクで例のバス停の前を通った。あの一週間を思い出す。
ここからいつも秘密の1時間の冒険が始まっていたんだっけ。
標識は撤去されていて、虚しく小屋とベンチだけが残っていた。

結局、未夏との約束を果たすことはできずに10年が経ってしまった。
彼女は今、どこにいるのだろうか。

ふと、最後の日に未夏が冒険に行こうと言っていた場所を思い出す。
林を田んぼの反対方向に抜けた所にある、立入禁止の看板がある建物。


リレー用写真


そっと柵に手を掛ける。中には3階建ての古びた建物が見える。
長い間管理されていないのか、柵の上の有刺鉄線が剥がれている部分がある。
上の刺さえ気をつければ簡単に中に入れそうだな。

この奥にはどんな冒険が待ち受けていたのだろうか。
あの時の僕だったら、すぐによじ登って中を探っていただろう。
未夏と一緒に。


未夏…?


柵の奥には、麦わら帽子にワンピース姿の、あの時の姿のままの女の子がいた。
そっか、キミはそこでずっと待っててくれたのか…。
待ち合わせはいつもバス停前の小屋だって言ってたのに、気が早いんだなあ。

彼女は10年前と変わらず屈託のない笑顔で、手を振りながらこちらにやってくる。
夏はまだ終わっていなかった。
未夏とだったらどこへでも行ける気がする。


僕は柵越しに、そっと彼女に手を伸ばした






あぁ~~~こんな女の子と二人きりで冒険したかった。
いろいろとベタな展開ですみません。もっとボキャブラリーを増やしたいと思いました。


ともあれ次のお題はこの写真で!


DSC_0859.jpg


今までとはかなり毛色の違うものでいってみました。
篠崎さんはこの写真からどんな物語を作ってくれるのでしょうか?
これからさらにクオリティが上がっていくことを期待しています!

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2014/06/24 | 写真deリレー | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
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